「コロナ禍だから研究留学は難しい」は本当か

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留学検討中の方へ

「コロナ禍」といわれ始めてから2年が過ぎましたが、形を変えながらいまだに収束の目途はたっておりません。むしろ記事執筆中の2022年の8月はその最中(さなか)にあるとさえ言えるでしょう。

「今はコロナ禍で留学どころではない」がいま日本で臨床をされている先生方の本音だと思います。
しかし時間は待ってはくれません。今から考えて準備をしておかないと、いざコロナの負担が減ったときにすぐに留学へ行くことはできません。無視できない事実として留学には年齢が関係してくるので尚更です。

となると気になるのは「コロナが留学に影響を及ぼしているか」が気になるのではないかと思います。

結論から言うと「YESでありNOである、しかしコロナ禍だから留学を延期するは良い選択肢とはいえない」となります。順を追って考えを述べていきます。

コロナ禍の影響が出る部分

まず「コロナ禍の影響」のYESの部分ですが、それは主に日本国内の事情です。

  1. 医局が留学に出す人的余裕がない
  2. 一部の留学支援プログラムが延期や中断になっている
  3. いま日本が大変な中で行くのか?という雰囲気

1. 人手の問題

これは特に今深刻な問題でしょう。
この状況で「では来月から行ってきます」はなかなか難しいはずです。

しかし今この記事を読んでいる方は今日明日の留学を考えているわけではないと思います。
留学の準備・実現には時間がかかります。
ぜひ今からできる準備はしておきましょう。

2. 支援プログラムの延期・中断

ごく一部ではありますがこれも困った問題です。
後述のように今や受入先の問題はありませんので、国内側の決断の問題だと思います。

一刻も早く再開して欲しいですが、ここは個人がどうこうできる問題ではないので再開されるのを待っているよりも自分でできる手段やツテを探す・構築することが肝要であると考えます。

3. 周囲の空気

こんなものは無視しましょう。あなたが行きたければ行っていいんです。
それに長い目で見れば留学は施設、コミュニティ、日本にいい影響をもたらしますので全く独善的な行為ではありません。

…と、考えないと留学は実現できません。
献身は日本人の美徳ですが、そればかりでは自分の人生を歩めません。

コロナが影響しない(もしくは異なる要因がより重要)部分

次にNOの部分はアメリカ含む海外からの視点です。

  1. 研究活動そのものは完全に正常化している
  2. 人を雇う立場からはコロナのあるなしは関係ない
  3. 生活もほぼ完全に正常化しておりコロナの影響は表面上はほぼ見られない
  4. むしろインフレ・チップ不足・戦争による資源不足/高騰が影響

1-3. もはやコロナ禍ではない(という雰囲気)

依然としてCDCや政府はワクチンや感染対策の重要性を呼びかけてはいるのですが、もうすでにワクチンを打ちたい人は接種済みで打ちたくない人はもう打ちませんし、マスクに関しては裁判所の決定以降ほとんどの施設や商業施設は義務化しなくなってしまいました。

研究施設内や病院内はほぼ100%に近いマスク着用率ですが、逆に言うとそれ以外では着用率は数%程度です。

ではコロナがなくなったかと言われると全くそんなことはなく、記事初稿時点(2022年8月)で国全体で500人/日程度の死亡者が出ていますので、これは日本の人口に換算すると150-200人/日相当になりますので平均すれば同時期の日本より遥かによろしくない感染状況です。

必然的にリモートワークや出勤制限なども皆無です。
隔離期間も推奨はありますが義務はほぼありません(職場により異なる)。

以前は実験試薬や器具の配達もかなり時間を要していましたが、物流もチップに関係するもの以外は正常化した印象です。

個人の推測ですが、こういう状況になると研究費のコロナ優先やコロナ研究への寄付も減るでしょうし、実際そういった情報が出回ることは少なくなっている印象です(これも個人の印象です)。

昨年の統計を見ましたが、日本人の研究留学は激減しているそうです。
しかしその穴は他国(インド・中国など)に簡単に埋められてしまいます。

日本の状況が改善しきるのを待っていると留学の可能性が狭まってしまうことが危惧されます。

4. 他の影響は今後いつ改善されるかの見込みは誰にも分からない

日本と比較して圧倒的な資金力を誇るアメリカですが、研究費の競争率は年々高まっており、R01の採択率は徐々に低下し以前は40%台だったものが20%台に低下したそうです。
全体の枠や金額といったパイそのものは増えているのですが、研究そのものも高度化・複雑化してかかる費用が増えており、緩やかなインフレも進んでいます。

そういった意味では研究室の維持や拡大が難しくなっているとも言え、この傾向が劇的に改善する可能性は低いと思われます。

また戦争や資源高、チップ不足なども現在問題ですが、これはいつ解消されるのか、悪化するのか見通しはたちにくいことを考えると、先延ばしにするメリットはほとんどなさそうです。

まとめ:時間は待ってくれない

各種奨学金には年齢制限があります。
また所属施設の肩書きが上がれば上がるほど長期の留学は困難になります。

コロナ禍であるからと延期、躊躇していても時間は待ってくれないし周囲は忖度してくれません。

ご自身が留学を希望するなら、是非留学準備を開始、継続してください。

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