アメリカ留学の準備を進めていると、大学や研究機関から「予防接種の記録を提出してください」と求められることがあります。子どものころの接種歴なんて覚えていない、という方も多いのではないでしょうか。
- アメリカ留学にどの予防接種が必要か知りたい
- 入国のときに接種証明が必要なのか不安
- 子どものころの接種記録の確認方法がわからない
- 英文の接種証明をどこで作ればよいか知りたい
結論からいうと、予防接種を求めるのは主に入国審査ではなく、留学先の大学や研究機関です。この記事では、求められることが多いワクチンと、接種記録や英文証明の準備の流れを解説します。ワクチンの情報はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)などの公的な情報で確認したものです。
要件は学校ごとに違うので、まずは留学先から届く案内を必ず確認してくださいね!複数回の接種が必要なものもあるので、早めの準備が大切です。
予防接種の要件の基本

アメリカ留学の予防接種について、まず押さえておきたいのは「誰が接種を求めているのか」です。留学生や研究者のビザでは、入国の条件として予防接種が求められるわけではありません。要件を決めているのは、主に大学や研究機関と州の法律です。ここでは、予防接種の要件がどのように決まっているのかを確認しましょう。
入国の条件ではない
CDCによると、アメリカのビザで予防接種が求められるのは移民ビザ(永住を目的とするビザ)の申請者です。学生ビザや研究者のJ-1ビザなどの非移民ビザでは、ビザ申請の健康診断で接種は求められていません。ただし、入国後に大学や研究機関の要件を満たす必要があります。
要件を決めるのは大学や研究機関
多くの大学は、入学や在籍の条件として予防接種の記録の提出を求めています。研究者でも、血液や病原体を扱う研究や臨床に関わる場合は、職場の規則で特定のワクチンを求められることがあります。必要なワクチンは学校や職場ごとに違うため、届いた案内を必ず確認しましょう。
州の法律で決まっている例
州によっては、大学生の予防接種を法律で定めています。たとえばニューヨーク州では、6単位以上を履修する大学生に麻しん・おたふくかぜ・風しんの免疫の証明を求めています。髄膜炎菌についても、大学が学生に情報を配り、回答書を集めることが法律で決められています。
※ 2026年10月時点でニューヨーク州保健局の案内を確認。ほかの州の要件は各州の保健局のサイトで確認してください。
求められることが多いワクチン

大学や研究機関で求められることが多いのは、CDCが大人や大学生に推奨しているワクチンです。日本で子どものころに受けた予防接種で条件を満たせることもありますが、日本とアメリカでは接種の種類や回数が違うものもあります。ここでは代表的な5つのワクチンについて、CDCの推奨をもとに紹介します。実際に必要なものは、留学先の要件で確認してください。
| ワクチン | 予防する病気 | CDCの主な推奨(大人) |
|---|---|---|
| MMR | 麻しん・おたふくかぜ・風しん | 免疫の証明がない大学生などは2回 |
| Tdap/Td | 破傷風・ジフテリア・百日せき | Tdapの後、10年ごとにTdかTdap |
| B型肝炎 | B型肝炎 | 19〜59歳は2〜4回のシリーズ |
| MenACWY | 髄膜炎菌感染症 | 寮に住む大学1年生などに推奨 |
| インフルエンザ | 季節性インフルエンザ | 毎年1回 |
※ 2026年10月時点でCDCの成人予防接種スケジュールを確認。
MMR(麻しん・おたふくかぜ・風しん)
MMRは、麻しん・おたふくかぜ・風しんの3つを予防するワクチンです。CDCは、免疫の証明がない大学生などに4週間以上あけて2回の接種を推奨しています。日本の定期接種は麻しん・風しんのMRワクチンで、おたふくかぜは任意接種のため、おたふくかぜの記録が足りないことがあります。
Tdap(破傷風・ジフテリア・百日せき)
Tdapは、破傷風・ジフテリア・百日せきを予防する大人向けのワクチンです。CDCは、Tdapを受けた後も10年ごとにTdかTdapの追加接種を推奨しています。前回の接種から時間がたっている方は、医療機関に相談してみましょう。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチンは、血液などを介して感染するB型肝炎を予防します。CDCは19〜59歳の大人に2〜4回のシリーズでの接種を推奨しています。複数回の接種が必要なため、早めにスケジュールを立てることが大切です。
髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)
髄膜炎菌ワクチンは、重い髄膜炎などを引き起こす髄膜炎菌感染症を予防します。CDCは、寮に住む大学1年生に、入学前5年以内の接種を推奨しています。日本では接種の機会が少ないワクチンなので、必要かどうかを早めに確認しましょう。
詳しくはCDCの髄膜炎菌ワクチンの案内も参考にしてください。
インフルエンザワクチン
CDCは、大人に毎年1回のインフルエンザワクチンを推奨しています。アメリカでは大学の保健センターや薬局でも接種できることが多く、現地で受ける人も少なくありません。
接種記録と英文の証明

予防接種の要件を満たすには、接種したことを英語で証明する必要があります。子どものころの記録を探すところから始まるため、思ったより時間がかかると考えておきましょう。ここでは、接種歴の確認から英文証明の作成までの流れを紹介します。記録が見つからない場合の対処法もあわせて確認してください。
母子健康手帳で接種歴を確認する
まずは母子健康手帳で、子どものころの接種歴を確認しましょう。厚生労働省検疫所(FORTH)も、定期接種の記録は母子健康手帳などで確認できると案内しています。手帳が見つからない場合は、接種を受けた自治体や医療機関に問い合わせる方法もあります。
医療機関で英文の証明書を作る
接種歴がわかったら、医療機関で英文の予防接種証明書を作成してもらいます。FORTHのサイトでは、英文証明書を発行できる医療機関を検索できます。留学先から指定の書式が届いている場合は、その書式を持参して記入を依頼しましょう。
医療機関の検索はFORTHの予防接種実施機関検索から行えます。
抗体検査で証明する方法
接種の記録が見つからない場合でも、血液検査で免疫があることを証明できる場合があります。たとえばニューヨーク州では、MMRの免疫の証明として2回の接種記録のほか、抗体検査の結果も認めています。どの方法が認められるかは留学先に確認しましょう。
準備の流れとタイミング

予防接種の準備は、留学先の要件を確認するところから始まります。ワクチンによっては複数回の接種が必要で、接種の間隔をあける必要があるため、ぎりぎりになってからでは間に合わないこともあります。ここでは、準備の流れと気をつけたいタイミングを紹介します。留学準備全体のスケジュールは、次の記事も参考にしてください。
留学先の要件を確認する
まずは、留学先の大学や研究機関から届く案内で、必要なワクチンと提出期限を確認します。提出用の書式が指定されていることも多いので、見落とさないようにしましょう。
- 必要なワクチンの種類と回数
- 提出期限と提出方法
- 指定の書式の有無
- 抗体検査での証明が認められるか
早めに医療機関へ相談する
要件がわかったら、早めに医療機関に相談しましょう。MMRやB型肝炎のように複数回の接種が必要なものは、接種の間隔を考えて逆算することが大切です。
現地で接種する場合
日本で間に合わなかったワクチンは、現地の大学の保健センターなどで接種できる場合があります。ただし、費用や保険の扱いは施設によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
留学の予防接種のよくある質問

最後に、アメリカ留学の予防接種についてよく寄せられる質問をまとめました。要件、記録と証明、接種のタイミングの3つに分けて回答しています。出発前の準備チェックとして活用してください。医療に関わる内容なので、実際の接種については必ず医師に相談しましょう。
要件に関する疑問
まずは要件に関する疑問です。学校ごとの案内が最優先です。
- Qアメリカに入国するときに接種証明は必要ですか
- A
学生ビザや研究者のJ-1ビザなどの非移民ビザでは、ビザ申請の健康診断で予防接種は求められていません。ただし、留学先の大学や研究機関が接種記録の提出を求めることが多くあります。
- Q研究者も予防接種の記録が必要ですか
- A
所属先によって異なります。血液や病原体を扱う研究や臨床に関わる場合は、職場の規則で特定のワクチンを求められることがあります。
記録と証明に関する疑問
次に、記録と証明に関する疑問です。母子健康手帳がまず手がかりになります。
- Q母子健康手帳が見つかりません
- A
接種を受けた自治体や医療機関に問い合わせる方法があります。記録が見つからない場合は、抗体検査で免疫を証明できるかを留学先に確認しましょう。
- Q英文の証明書はどこで作れますか
- A
医療機関で作成してもらえます。厚生労働省検疫所(FORTH)のサイトで、英文証明書を発行できる医療機関を検索できます。
接種のタイミングに関する疑問
最後に、接種のタイミングに関する疑問です。早めの準備が欠かせません。
- Qいつから準備を始めればよいですか
- A
留学先の要件がわかったら、すぐに始めるのがおすすめです。複数回の接種が必要なワクチンは、接種の間隔をあける必要があるためです。
- Qアメリカに着いてから接種してもよいですか
- A
現地の大学の保健センターなどで接種できる場合もあります。ただし、提出期限や費用、保険の扱いを事前に確認しておきましょう。
まとめ

アメリカ留学の予防接種は、入国の条件ではなく、主に大学や研究機関、州の法律によって求められるものです。MMRやTdap、B型肝炎、髄膜炎菌、インフルエンザなど、求められることが多いワクチンを把握し、留学先の要件を必ず確認しましょう。接種記録は母子健康手帳で確認し、医療機関で英文の証明書を作成します。
- 予防接種を求めるのは主に大学や研究機関
- 非移民ビザの申請では接種は求められない
- MMRは大学生などに2回の接種が推奨
- 接種歴は母子健康手帳で確認
- 英文証明はFORTHで医療機関を検索
予防接種の準備は、要件の確認から始めて早めに動くことが成功のコツです。健康面の準備を整えて、安心してアメリカでの生活をスタートさせましょう。

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