「田舎」の定義はあまり厳密ではなく、どの程度の規模を田舎と呼ぶかは人それぞれです。ここでは仮に私の在住する都市(人口:5万以上10万以下)を田舎として、Harvard大学のあるボストンや大都市ニューヨークと比較した5つのメリットをピックアップしてみました!
もちろん田舎のデメリットもあります。
そちらは「都市部との比較で実感したアメリカの田舎に留学するデメリット5選」をご覧ください。
1. 治安が良い
一般的に人が多く集まれば相対的に治安が悪くなるのはアメリカに限らず世の常です。
もちろん大都市にはそれぞれ「治安の良いエリア」があり、留学する医師達は皆ほとんどそのエリアに住むことになります。しかしそれは住居がより高価になることとトレードオフになります。
都市部では比較的治安が良いエリアであっても夜間は外出しにくく、日中に外出するとしても危険なエリアは避けなければなりません。
田舎ではこの辺りの配慮がほとんどいりません。「ほとんど」というのは、当然日本よりは注意が必要だからです。例えば銃です。私の住む場所の周囲(と言っても広いですが)は少ないとはいえ年に1~3回程度は銃の発砲があります。深夜にあえてダウンタウンなど一般に治安が悪いとされる地域に外出することは避けたほうがいいでしょう。自転車の盗難などもありますので一定程度の防犯意識は必要です。
…とはいえこの部分にそれほど意識を割かなくて良いのは大分助かります!
2. 生活費/物価/サービス料が安い
特に違いを感じるのが住居費とデイケアです。
私の住居は2ベッドルーム+リビングルームで$1300程度です。しかし都市部でこの大きさを借りるには$2500~$3000程度は必要とのことです。
またデイケアは私の周囲では$800~$1,500/月程度ですが、都市部ではこれまた$2500~程度と全く違います。デイケアなどに関しては収入や家族構成によって減額や無料などの措置が受けられますし、小学校まで上がれば都市部であっても無料であるので子育てに厳しいわけではないのです。
実際のところ小さい子供二人+パートナーの四人家族の場合、片働きのポスドクの給料($52,000/year程度)や日本の奨学金(200-400万/年程度)では全く不足です。
パートナーも頑張って(かつビザの制約を突破して)働くか、貯金を大幅に取り崩すかの2択となります。しかも本稿執筆時点(2022/5)以降は円安も炸裂し、自費留学や日本の奨学金など日本円を生活費としている方々にとってはさらに苦しいことと思います。
このあたりのプレッシャーが田舎と都会では全く異なるのがお分かりでしょうか?
>> アメリカの生活費事情:実際の出費についてわかりやすく解説
3. 街が(比較的)綺麗で空気も良い
特に晴れた日の春〜夏の一面の芝と木々の緑は圧巻です。よく見ると人通りの多いところにはゴミが捨ててありますが、都市部と比べれば遥かに少なく、芝の整備も行き届いています。
インフラ関係はお金がないのか道路や水路などは古く、ところどころ欠けたりひび割れたりしていますが、それも味と感じることもできなくはないくらい緑が綺麗です。
車社会のアメリカですが、田舎は渋滞も比較的少ないので一部の交通量が激しい地域の道路沿いを除けば空気が汚れていると感じることはありません。
4. 渋滞が少ない
3.と少し被ってしまいますが車を使えばかなり遠くの距離でも短い時間で到着することができます。逆を言えば各建物や施設の距離が離れているので車なしでは生活できないのと表裏一体ですが、通勤や遠出をするときに渋滞がストレスになることは皆無です。
空気の綺麗さもここに起因するところが大きいでしょう。
5. 感染のリスクが少ない
これは2020年以降のCOVID-19の出現後に特に重要になり、ワクチンおよび感染率の拡大による抗体保有率上昇で2023年以降は重要度が若干減った話ですが、人が集まれば感染が多くなります。アメリカの高い感染率を考えれば田舎で一番感染状況が厳しい時間を過ごしたメリットはありました。
今後もインフルエンザなどその他の感染症もリスクではあり続けます。変わらず田舎のメリットの一つと言えると思います。
まとめ:田舎には田舎の良いところがあります!
残念ながら有名な都市に比べれば知名度が低く人が少ない田舎は都市としての魅力は今ひとつに映るかもしれません。しかし馴染みのない田舎であることは留学の候補地から外すべきではないと思っています。
以下の記事にある田舎のデメリット、また研究室自体のメリットデメリットも合わせて悔いのない研究室選びを行ってください!
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