二年間を過ごして考えるアメリカ医学研究留学のメリットデメリット 

アメリカ生活

終わってみて感じるもの、また帰国して数年経って感じるものはまた違ったものがあると思いますが、今現時点でのメリットデメリットを記録がてら整理してみたいと思います。 

【アメリカ医学研究留学のメリット】

1. 英語に対する抵抗が少なくなった

話しかけるのも話しかけられるのも以前よりは構えなくなりました。
メールのやり取りなどもそうですね。
読み書きについては英語補助ツール(DeepLGrammarly)を使うことを覚えたのが大きいだけですが笑

だからと言って気軽に話しかけられる訳でもなければコミュニケーションが潤滑になったともまだまだまだまだいえません。技術的な改善ではなく心理的な慣れが大きいと思っています。

しかし三年目ともなると準備しなくても話せることは増えてきた印象がありますし、ネイティブの会話も半分…くらい…聞けていると…いいなと思います(弱気)。

外出時の店舗での会話も避けられれば避けたいのは変わりありませんが、それは言語というよりはシステムとか、勝手の問題とかなのでこの辺りは日本でもありますからね。
ただの人見知りかもしれません😅

2. 環境の変化(大)に適応する経験ができた

住居とか、食事とか、人間関係とか、気候とか、そういったことの変化ですね。
なので今後日本国内とか海外とかにもう一度引っ越すことになったとして、あの時に比べれば〜、と気持ちの上で優位に乗り越えられるようになったと思います。
ウォシュレットがなくても全然平気(あった方がいいですけど)になりました。

3. 結局そこまで大きくは変わらない…と考えられる

2の続きみたいなものですが、アメリカ、というと漠然とした憧れみたいなものがありましたし、別世界であるという捉え方をしていました。

来てみたら、もちろん日本と違うところ、すごいところはたくさんあるんですが、反対にイマイチなところも多いし、またその違いは断絶した違いではなくて、例えば国内の地域差と地続きのような印象を持ってきました。いわゆるトポロジー的に捉えられるようになったというか。

海凪
海凪

結論としては「色々違いはあるけれども生きてく上でそんなに変わらない」と考えられるようになりました。

4. 新しい視点を得ることができる

2-3と矛盾しますが、そう入っても色々違う国外からの視点を、観光ではなく生活することによって色々な気づきがあったことも確かです。
よく言われることですが「外から日本という国を眺める」という現象です。

コロナ対策や経済対策、子育て対策などはその最たるものでした。
もちろんコロナ対策そのものは日本の良いところもよく見えました。
ただそれは殆どの部分で日本政府ではなく日本国民が全体として良くやっていたという印象ですが…。

一方の経済対策・子育て/少子化対策に関してはここまで日本の政治に怒りを覚えたのは初めてです。
これは今後も自分の人生に少なくない影響を与えそうな予感がします。

5. 「やっぱり日本は好きだ」と思える

そしてここに戻ってきます。
政治家の体たらくであるとか、低賃金とか長時間労働とか同調圧力とかやりがい搾取であるとか色々ありますが、総合的には「日本っていいな」「日本人でよかったな」とそう思えています。
日本に戻ってみないとわからないところはありますが、ずっと国内に居続けるよりもさらに幸福度が上がるんじゃないか、と期待してます。

6. 国際的な人間関係の構築

これはまだ思ったよりもできてないですが…。

自分が行ったラボが小規模・田舎ということが大きいのかもしれませんし、地域性や自分自身の振る舞い方など要因は様々あるのでしょうけど、予想以上に広がってこない印象です。
あと言い訳するならコロナの影響も小さくないでしょう。

ただ考えてみれば、自分が大学院生の時に自分の研究室以外の人たちや留学生などとそこまで関係を気づけたか、と言われるとそんなことはなかった(し自分もそこまで積極的に交流しようとしたわけではなかった)ですから「まあ自分なんてそんなものかな」という結論でした。
もちろんボスとはある程度交流を持てたので、今後もある程度繋がりにはなると思っていますが。

反対に思っていたよりも多くの日本人医師と知り合いになれました。
むしろこっちが将来的に活かせる可能性があるかもしれません。

7. 履歴書 (CV) に書ける・箔がつく

ややいやらしい(?)視点になりますが、これも無視できません。

特に研究施設で基礎研究メインでやっていこうしている方や大学病院になるべく長くいたい方や教授を目指す方(希少種かもですが)には非常に重要になります。

今後日本に戻った時に科研費の獲得にも非常に役立つでしょう。

海凪
海凪

海凪は帰国後にまだ研究費申請していないのでまだこのメリットは享受しておらず推測ですが…

8. 留学しなければ身につかない技術と知識が身についた

これは「日本にいたら決して身につかない」というものではありませんが、前の施設にいたら知らなかった実験器具、実験方法、ソフトウェアの使い方を習得できました。

元の施設に戻ったときにはおそらく使えない/使わないものも含まれてはいますが、今後研究を続けるとしたらそういったオプションと視点が得られたことは活かせるものがあると確信しています。

これは国内留学でも実現可能だったとは思いますが、とにかく「場所を変えた」ことによって得られたものですので、メリットに入れました。

【アメリカ医学研究留学のデメリット】

1. 金銭的にマイナス

これは人により違うかもしれませんが、一般的に私たちの立場だと給料は下がります。
私の場合は幸いポスドクとして給料をもらえたので一人での生活には全く困りませんし、もし家族が来てもトントンくらいで行けると思っています。
しかしそれでも日本でもらっていた給料よりかなり下であることは間違いなく、また人によっては無給であったり、研究助手としての給料しかもらえないなど、極端にマイナスで貯金を崩して生活する人も少なくありません。
日本で働き続けた方が間違いなく経済的にはプラスです。

研究の留学の経済的な側面は下記の記事群も参考にしてください↓

2. 家族との時間が変化する

これはメリットに今後なる可能性もあります。
留学によって生活のサイクルが変わるのでより多くの時間を過ごすことができるようになる家庭も多いです。
私のように一時的に離れて暮らす場合や、様々な理由(期間がとても短いなど)から研究に全力投球している人の場合にはむしろ家族との時間が減る場合があります。
うちは子どもが小さいのでかなりここが気になっています。

3. 日本での人間関係の希薄化

今どきZoomなどのオンラインミーティングやインターネットを介した通話も手軽にほぼノーコストで可能なので、一昔前に比べれば遥かにコミュニケーションは取りやすくなっています。
しかもコロナ禍もあいまって国内にいても交流が減っていた世の中にあって、むしろ最近年賀状くらいしかやり取りしていなかった友人などと通話するきっかけになったのは思わぬメリットではありました。

しかし仕事関係でのコミュニケーションは留学によりかなり減りましたから、トータルで見た時には私の場合には希薄化したと言って差し支えありません。

4. 留学中に今までの知識・経験・技術が衰える

これが今一番恐れていることです。
分野としては地続きではあるものの、日本で仕事の時に使っていた知識や技術と今アメリカで行っていることは全く異なります。
このため留学から帰国したときに相当ポンコツになっていることが予想されます。

ただこればっかりは維持するのは難しいですし、あまりそちらを重視しすぎてこちらでやっていることの時間を減らしたのでは本末転倒なので、帰国後に七転八倒するしかなさそうです。

まとめ:それでも研究留学には価値があると思える

今のところ「留学しなければよかった」と思うことはありません
結局のところ「自分自身がどう考えるか」が最も大事なのでトータルでめちゃくちゃ損していても「本人が良ければそれで良い」ので、あまり説得力はありませんけど笑

海凪
海凪

以上、渡米年で感じたアメリカ医学研究留学のメリットデメリットでした

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