アメリカへ渡航する前に迷いやすいのが、日本から持って行けるものと持って行けないものの線引きです。空港でお土産のお菓子や常備薬を出すよう言われ、その場で没収されたという話は珍しくありません。しかもアメリカの税関では、申告しないまま禁止品が見つかるとその場で罰金を科される仕組みになっています。この記事では、アメリカへの持ち込みが禁止されているものと持ち込めるものを、食品・食品以外・薬の3つに分けて整理しました。入国時の申告ルールや、うっかり持ち込んでしまったときの対処法まで解説します。読み終えるころには、出発前に荷物のどこを確認すればよいかがはっきりしているはずです。
- お土産のお菓子やレトルトが没収されないか
- 毎日飲んでいる常備薬を持って行けるのか
- 税関の申告書にどこまで書けばよいのか
- 見つかったときに科される罰金の額
どれも事前に調べておけば防げるものばかりです。アメリカの規制は複雑に見えますが、旅行者が押さえるべき判断基準は多くありません。順番に確認していきましょう。
海凪もアメリカ生活の行き来で何度も税関を通りましたが、迷ったものは全部申告すると決めてからは一度も止められていません!
なお、荷物全体の準備については海外留学の入国時に必要な持ち物リストと荷造りでも詳しく解説しています。あわせて確認しておくと準備が楽になります。
アメリカの持ち込み規制の全体像

アメリカの持ち込み規制は、ひとつの役所がまとめて決めているわけではありません。農業を守るための規制、医薬品の規制、安全保障のための規制がそれぞれ別の法律で動いており、入国する旅行者はそのすべてを同時に受けることになります。ただし旅行者がやるべきことは意外と単純で、持っているものを正直に申告し、係官の指示に従うだけで大半のトラブルは避けられます。まずは規制を担う機関と申告の義務、そして罰則の考え方という3つの前提を押さえておきましょう。
規制を担う3つの機関
アメリカの水際で持ち込みを判断しているのは、次の3つの機関です。それぞれ守っている対象が違うため、規制の理由も異なります。
| 機関 | 守っている対象 | 旅行者に関わる主な品目 |
|---|---|---|
| CBP 税関・国境取締局 | 国境の安全と関税 | 申告書の受理・荷物検査・罰金の判断 |
| USDA APHIS 農務省 動植物検疫局 | 農業と畜産業 | 肉・果物・野菜・植物・種子・土 |
| FDA 食品医薬品局 | 食品と医薬品の安全 | 医薬品・サプリメント・一部の食品 |
覚えておきたいのは、実際に荷物を開けて可否を判断するのはCBPの職員だという点です。農務省の基準で禁止されているものであっても、旅行者が向き合う相手はCBPになります。問い合わせ先を迷ったときは、まずCBPの案内を見れば足ります。
すべての飲食物に申告義務
アメリカでは、持ち込む飲食物や農産物はすべて申告することが義務づけられています。機内で配られる、あるいは入国審査の端末で入力する税関申告書(CBP Form 6059B)に、食品を持っているかどうかを答える欄があります。
- 少量だから申告しなくてよいという例外はない
- 未開封の市販品でも食品であれば申告の対象
- 機内で配られたスナックや果物も持ち込めば対象
- 家族分をまとめて1枚の申告書に書く形でも問題ない
ここで大切なのは、申告しても禁止品が没収されるだけで罰金は科されないということです。申告は自分を不利にする手続きではなく、罰金を避けるための手続きだと考えてください。
罰則の基本的な考え方
申告せずに禁止品が見つかった場合、旅行者には民事制裁金(civil penalty)が科されます。CBPの実際の事例では、初回の違反で300ドル、2回目以降は500ドルという金額が使われています。非商業的な量であっても、状況によっては最大1,000ドルまで引き上げられます。
罰金は「禁止品を持っていたこと」ではなく「申告しなかったこと」に対して科されます。同じリンゴを持っていても、申告した人は没収だけで済み、申告しなかった人は300ドルを支払うことになります。
さらに厄介なのが、違反の記録がCBPのシステムに残る点です。次回以降の入国で二次検査に回されやすくなるため、金額以上の負担が後々まで続きます。数百ドルと時間を失わないために、申告欄には正直にチェックを入れましょう。
食品で持ち込み禁止のもの

食品はもっとも没収されやすいカテゴリです。アメリカが食品を厳しく規制しているのは、口蹄疫や鳥インフルエンザといった家畜の病気、そして農作物を荒らす害虫の侵入を防ぐためです。つまり味や品質の問題ではなく、農業と畜産業を守るための規制になります。判断の分かれ目は肉が入っているかどうかと、生かどうかの2点です。この2つさえ意識しておけば、店頭で商品を手に取った時点で見当がつくようになります。ここでは日本人が持ち込みがちな食品を4つに分けて確認しましょう。

肉と肉エキスを含む食品
生肉はもちろん、加工された肉製品も日本からアメリカへは持ち込めません。APHISは口蹄疫やBSE、豚熱、アフリカ豚熱が発生している国からの牛・豚・羊・ヤギ肉を禁止しており、高病原性鳥インフルエンザが発生している国からの鶏肉製品も対象になります。
見落としやすいのが、肉そのものではなく原材料に肉エキスが含まれている加工食品です。パッケージにビーフエキス、ポークエキス、チキンエキスと書かれていれば、カップ麺でもレトルトカレーでも缶詰でも持ち込みはできません。
- ビーフジャーキーや肉を使った珍味
- ハム・サラミ・ソーセージなどの加工肉
- 肉エキス入りのカップ麺やインスタント麺
- 肉入りのレトルトカレーや中華調味料
- 肉のかやくが入ったフリーズドライのスープ
- 肉由来の成分を含むペットフードやおやつ
お土産として人気のある品ほど肉が入っている確率は高くなります。買う前に原材料表示を見る習慣をつけておくと安心でしょう。
生の果物と野菜
生の果物と野菜は、害虫と病原体が付いたまま入ってくる危険があるため原則として持ち込めません。りんごやみかんのような身近な果物も対象です。機内で配られた果物をうっかりバッグに入れたまま入国し、申告せずに見つかるケースが典型的な失敗例になります。
- 生の果物全般(りんご・みかん・バナナなど)
- 土のついた野菜や根菜
- カットしただけの野菜や未加熱のサラダ
- 生栗やぎんなんなど殻付きの木の実
一方で加熱処理や乾燥処理をした果物・野菜は認められる場合があります。ドライフルーツや瓶詰めのジャムは通ることが多い品目です。ただし産地の表示がないものは判断できないため、係官の裁量で没収されることもあります。
乳製品と卵
乳製品は種類によって扱いが分かれます。牛乳やヨーグルト、生クリームといった液状の乳製品は制限の対象で、原則として持ち込めません。これに対してパルメザンやチェダーのようなハードチーズは、加熱と熟成の工程を経ているため認められています。
- 原材料が全て表示されているパッケージを選ぶ
- 液状・半液状のものは避ける
- 乳児用の粉ミルクは個人使用の量なら認められる
- 表示が日本語のみの場合は説明できるようにしておく
卵は生卵はもちろん、卵を含む未加熱の製品も対象になります。鳥インフルエンザの発生国からの卵製品は一律で禁止されており、日本もその対象に含まれる年があります。生菓子や半熟卵の加工品は避けておきましょう。
穀物と種子類
未加工の穀物と発芽する種子は、植物の病害虫を運び込むリスクがあるため持ち込めません。とくに警戒されているのがカプラ甲虫(Khapra beetle)で、この害虫が発生している国からの米は非商業的な量であっても持ち込みが禁止されています。
もみ殻が付いていない精米や玄米、米粉は認められる場合がありますが、最終的な判断は入国時のCBP職員が行います。確実に持ち込みたいのであれば、現地で購入するほうが早いでしょう。
- 殻付きの穀物や未加工の雑穀
- 園芸用の種や発芽する豆類
- もみ殻付きの米や籾
- 植えられる状態の球根や苗
お米や種は「食べ物」より「植物」として見られます。日本の感覚だと引っかかりやすいところなので気をつけてください!
食品以外で持ち込み禁止のもの

食品以外にも、アメリカが入り口で止めているものは数多くあります。こちらは農業を守るための規制だけでなく、安全保障や公衆衛生、知的財産の保護、そして絶滅危惧種の保護といった目的が混ざっています。そのためうっかり買ったお土産が規制品にあたるという事故が起きやすい領域です。食品と違って現地で買い直せないものも多く、失ったときの痛手は大きくなります。ここでは旅行者が触れやすい4つのカテゴリに絞って、何が止められるのかを整理しましょう。
植物と種と土壌
土は輸入許可がなければ持ち込めません。土のなかには目に見えない害虫や病原体が潜んでおり、アメリカの生態系や農作物に深刻な被害を与える可能性があるためです。登山靴やスポーツシューズに乾いた泥が付いたまま入国して指摘される例もあります。
- 植木鉢ごとの植物や土のついた苗
- 押し花や標本など未処理の植物
- 生の花束やリース
- 靴やキャンプ用品に付いた土や泥
植物そのものも、種類によっては輸入許可証や検疫証明が必要になります。記念品としてもらった植物や種は持ち帰らないのが最も確実な対応です。どうしても必要な場合は、USDAの許可を事前に取得しておきましょう。
偽造品と禁輸国の商品
ブランドのロゴを無断で使った偽造品や海賊版のソフト・DVDは、知的財産を侵害する商品として没収されます。個人使用については30日に1点までという例外が設けられていますが、同じ種類を複数持っていれば商用とみなされ、例外は適用されません。
加えて、経済制裁を受けている国からの商品も規制の対象です。キューバやイラン、北朝鮮などが該当し、観光地で買ったキューバ産の葉巻やラム酒も持ち込めません。第三国で購入したものであっても、原産国で判断される点に注意しましょう。
- 露店で買ったブランド品のコピー
- キューバ産の葉巻とラム酒
- 象牙やべっ甲の装飾品
- ワニ革やヘビ革の小物
危険物と規制薬物
爆発物や火器類、毒物や放射性物質は当然ながら持ち込めません。旅行者が実際に迷いやすいのは、機内持ち込みのルールと重なる日用品のほうでしょう。スプレー缶やライター用のガスボンベは圧縮ガスとして扱われ、預け荷物にも入れられません。
- カセットコンロ用のガスボンベや燃料
- モバイルバッテリーは手荷物のみ(100Wh以下)
- 電子タバコと加熱式タバコは手荷物のみ
- 花火やクラッカーなど火薬を使うもの
薬物については、州法で大麻が合法化されている州があっても連邦法では違法のままで、空港や国境ではCBPに押収されます。ヘンプ由来のCBD製品も連邦の定義が見直されている最中で、新しい基準の適用は2026年12月11日まで延期されました。扱いが流動的な分野ですので、渡航時には持ち込まない判断が無難でしょう。
動物由来の製品
ワシントン条約で保護されている動植物と、その加工品は持ち込みが規制されています。象牙は100年以上前の骨董品と証明できるものだけが例外で、それ以外は没収の対象です。犬と猫の毛皮は完全に禁止されており、没収に加えて罰金が科されます。
狩猟で得たトロフィーや剥製を持ち込む場合は、魚類野生生物局への申告書(Form 3-177)が必要になります。生きた動物を連れて行く場合も、狂犬病の予防接種証明などの健康証明書が必須です。手続きに数週間かかることもあるため、早めに準備を始めましょう。
お土産物屋さんに並んでいても、条約で守られている素材が使われていることがあります。素材の表示は必ず見てください!
持ち込みが可能なアイテム

禁止品ばかりを並べると不安になりますが、日本から持って行ける食品は実際にはたくさんあります。基準はシンプルで、工場で加工され密封されていて、肉が入っていないものであれば、多くは問題なく通ります。日本食が恋しくなったときに助けられるものばかりですので、何が持ち込めるのかを知っておくと荷造りの自由度が上がります。現地では手に入りにくい、あるいは価格が数倍になる品も少なくありません。ここでは4つのカテゴリに分けて、検査を通りやすい品目を確認していきましょう。
加工食品とお菓子
商業的に包装され加熱処理されている食品は、基本的に持ち込めます。定番のお土産であるチョコレートやクッキー、せんべいはこの条件を満たしています。個包装になっていて原材料の表示があるものほど、検査でも説明しやすくなります。
- チョコレート・クッキー・キャンディ
- せんべいやあられなどの米菓
- インスタントラーメン(肉エキスなしのもの)
- 肉を含まない缶詰や瓶詰
- 乾麺(そば・うどん・そうめん)
- 海苔やわかめなどの乾燥海藻
ただしあくまで個人使用の量に限られる点は忘れないでください。同じ商品を段ボール単位で持ち込めば商用とみなされ、別の手続きが必要になります。
調味料とお茶
調味料は持ち込みやすい品目の代表です。CBPも一般論として、調味料や酢、油、包装されたスパイス、はちみつ、コーヒー、紅茶は受け入れられるとしています。現地のスーパーで日本の味を揃えると高くつくため、優先して荷物に入れる価値があります。
| 品目 | 持ち込みの可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 醤油・味噌・みりん | 可 | 液体のため預け荷物に入れる |
| マヨネーズ・ソース類 | 可 | 未開封の市販品が確実 |
| 緑茶・紅茶・麦茶 | 可 | 茶葉もティーバッグも問題ない |
| インスタントコーヒー | 可 | 個人使用の量にとどめる |
| はちみつ | 可 | 巣蜜やローヤルゼリーも可 |
| だしパック | 要確認 | かつお以外の肉エキスに注意 |
気をつけたいのはだしの素や中華スープの素に肉のエキスが入っている場合です。和風の商品でもチキンエキスが使われていることがあるため、原材料の欄を最後まで読んでおきましょう。
チーズとナッツ
乳製品のなかでも、パルメザンやチェダーのようなハードチーズは持ち込みが認められています。水分が少なく加熱と熟成を経ているため、病原体が残るリスクが低いと判断されているためです。反対にモッツァレラのようなフレッシュチーズは制限されます。
ナッツは加熱処理がされていれば持ち込めます。APHISは煮る、焼く、挽く、オーブンで乾燥させる、ピューレにする、ローストする、蒸すのいずれかを経たナッツを認めています。生のままの殻付きナッツは発芽する可能性があるため対象外です。
- ローストしたアーモンドやくるみ
- 味付けされた市販のミックスナッツ
- 産地表示のある乾燥果物
- ハードチーズ(パルメザン・チェダーなど)
カップ麺の見分け方
日本人がもっとも判断に迷うのがカップ麺です。カップ麺そのものが禁止されているわけではなく、中身に肉のエキスや具材が入っているかどうかで結果が分かれます。同じブランドでも味によって可否が変わるため、商品単位で見る必要があります。
持ち込みやすいのはシーフード系と、肉を使わない和風・野菜系の商品です。反対に、しょうゆ味やとんこつ味の多くはポークエキスやチキンエキスを含んでいます。英語表記のない商品は係官が判断できず、そのまま没収されることもあります。
確実に持ち込みたい場合は、原材料に「pork」「beef」「chicken」にあたる表記がないものを選びましょう。パッケージの写真を撮っておくと、質問されたときに説明しやすくなります。
海凪は最初、カップ麺は全部ダメだと思っていました。シーフード系なら通ることを知ってから、荷物の中身が少し豊かになりました!
薬の持ち込みで守るルール

持病がある方や長期滞在の方にとって、薬の持ち込みは食品以上に切実な問題です。アメリカは個人使用の医薬品の持ち込みを認めていますが、認められるのは量と容器と書類の3つの条件を満たした場合に限られます。条件を外れると、必要な薬であっても没収されます。しかも後から日本の家族に郵送してもらうことは原則できません。つまり出発前の準備がそのまま滞在中の治療の継続に直結します。確実に整えておきたい3つの要件を、順番に見ていきましょう。

90日分という上限
持ち込める処方薬は、個人使用として通常90日分までです。これを超える量は個人使用ではなく輸入とみなされ、FDAの承認や別の手続きが必要になります。1年間の留学であっても、まとめて1年分を持ち込むことはできません。
- 処方薬は90日分を上限に用意する
- 市販薬も常識的な個人使用の範囲にとどめる
- 残りの期間の薬は現地で処方してもらう
- 家族からの郵送は原則として認められない
長期滞在の方は、渡航後にどう薬を確保するかまで含めて計画を立てる必要があります。渡航前に主治医と現地での受診方針を相談しておくと、切れ目なく治療を続けられるでしょう。
元の容器と英文書類
薬は必ず元の容器のまま持ち込みます。患者の名前と処方した医師の情報が読み取れるラベルが付いていることが求められるためです。ピルケースに小分けして詰め替えると、何の薬なのか証明できなくなります。
- 英文の処方箋(薬剤名と用量が分かるもの)
- 英文の診断書または医師のレター
- 薬の一般名を控えたメモ
- お薬手帳のコピー
これらの書類は預け荷物ではなく手荷物に入れて、その場で提示できる状態にしておきます。薬そのものも手荷物に入れておけば、預け荷物が届かないトラブルにも備えられます。
注意が必要な薬
日本では普通に処方されている薬でも、アメリカでは規制薬物にあたるものがあります。代表的なのが睡眠薬や抗不安薬などの向精神薬、ADHDの治療薬、そしてコデインを含む咳止めです。これらは追加の許可を求められることがあります。
とくに注意したいのがエチゾラム(デパス)です。アメリカでは未承認の成分であり、持ち込みを避けるのが安全と考えてください。常用している場合は、渡航前に代替薬へ切り替えられないか主治医に相談しておきましょう。
| 分類 | 代表例 | 対応 |
|---|---|---|
| 向精神薬 | 睡眠薬・抗不安薬 | 英文処方箋を必ず携帯する |
| 中枢刺激薬 | ADHD治療薬 | 追加の許可が必要になる場合がある |
| 麻薬性鎮咳薬 | コデイン含有の咳止め | 量を最小限にして書類を添える |
| 未承認成分 | エチゾラム(デパス) | 持ち込まず代替薬を検討する |
薬は「持って行けるか」ではなく「説明できるか」が分かれ目です。英文の書類さえあれば話は早く済みます!
入国時の申告と免税の基準

持ち込む中身の判断ができたら、次は入国時の手続きです。アメリカでは税関申告書に記入し、係官の質問に答えることで入国審査が完了します。このとき問われるのは食品だけではありません。現金や酒、たばこにもそれぞれ基準があり、超えていれば申告が必要です。基準そのものは単純で、覚えてしまえば毎回の入国で迷うことはなくなります。書き方を知らずに慌てる場面をなくすため、申告書の考え方と現金・酒たばこの3点を先に確認しておきましょう。
税関申告書の書き方
税関申告書はCBP Form 6059Bと呼ばれる書類です。機内で配られる紙のほか、到着した空港の自動入国審査端末で入力する形式もあります。家族で旅行している場合は代表者が1枚にまとめて記入できます。
- 食品・農産物を持っているかの欄は必ず正直に答える
- 1万ドル相当を超える現金を持っているかの欄がある
- 商用のサンプルを持っているかも問われる
- 農場や家畜に接触したかを尋ねられることもある
記入に迷ったら「はい」を選んで係官に質問するのが最も安全です。申告した結果として検査に回されても、それは罰則ではありません。英語での説明に不安がある方は、品名を書いたメモを用意しておくと落ち着いて対応できます。
現金1万ドルの申告
現金や有価証券の合計が1万ドル相当を超える場合は、申告が義務づけられています。持ち込むこと自体は違法ではなく、税金がかかるわけでもありません。問題になるのは申告しなかった場合で、全額を差し押さえられる可能性がある重い違反として扱われます。
1万ドルという基準は、家族など同行者の合計額で判断されます。1人あたり9,000ドルずつ2人で分けて持っていても、合計が1万ドルを超えていれば申告の対象です。円やトラベラーズチェックも米ドル換算で合算します。
申告が必要な場合は、税関申告書に加えてFinCEN Form 105という書類を提出します。留学費用や当面の生活費をまとめて持ち込む方は特に注意してください。現地での資金移動についてはアメリカの銀行口座を開設するにはも参考になります。
酒とたばこの免税枠
酒とたばこには免税の範囲が決められています。非居住者としてアメリカに入国する場合、酒類は1リットルまで、たばこは紙巻きたばこ200本または葉巻50本までが免税の目安です。酒類の持ち込みには21歳以上という年齢条件も付きます。
| 品目 | 免税の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 酒類 | 1リットル | 21歳以上であることが条件 |
| 紙巻きたばこ | 200本(1カートン) | 超過分は課税の対象 |
| 葉巻 | 50本 | キューバ産は原産国を問わず不可 |
| 土産物 | 100ドル相当 | 非居住者の贈答品としての枠 |
免税枠を超えたからといって持ち込めなくなるわけではありません。超えた分を申告して関税を支払えば持ち込めます。黙って通そうとすることのほうが、はるかに大きなリスクになります。
禁止品を持ち込んだ場合の罰則

どれだけ気をつけていても、禁止品を持ってきてしまうことはあります。そのときに結果を大きく左右するのが、申告していたかどうかです。申告していれば没収だけで済み、していなければ罰金が加わります。同じ品物を持っていても、たった一つのチェック欄で扱いが変わるということです。この違いを知らないまま入国して、数百ドルを失う旅行者が毎日のように出ています。ここでは実際に科される罰金の額と、指摘されたときに取るべき対応を確認しておきましょう。

罰金300ドルという現実
申告せずに禁止された農産物が見つかった場合、初回の違反で300ドルの民事制裁金が科されます。2回目以降は500ドルに上がり、非商業的な量であっても状況によっては最大1,000ドルまで引き上げられます。CBPの広報でも、りんご1個やマンゴー数個で300ドルを科された事例が公表されています。
- 初回の違反は300ドルが目安
- 2回目以降は500ドルに引き上げ
- 非商業的な量でも最大1,000ドル
- 商業目的とみなされた場合はさらに高額
金額以上に痛いのが、記録が残るという点です。違反歴があると次回以降の入国で二次検査に回されやすくなり、毎回の入国に余計な時間がかかるようになります。
申告すれば没収だけで済む
一方で、申告書に正しくチェックを入れていれば話はまったく違います。検査の結果その品物が禁止品だと分かっても、その場で放棄するよう求められて廃棄されるだけで、罰金は科されません。
CBPは「申告した品物は、たとえ禁止品であっても没収・廃棄されるだけで罰金はない」という運用を明示しています。つまり申告は、自分を守るための保険として機能します。迷ったものをすべて申告しても、失うのはその品物だけです。
放棄する場合は、検査場の手前に置かれた専用の廃棄ボックスを使う方法もあります。検査を受ける前に自分から捨てれば、そもそも違反になりません。空港で「これは大丈夫だろうか」と思ったら、迷わずボックスに入れてしまいましょう。
見つかったときの対応
実際に禁止品を指摘されたときは、落ち着いて事実を説明することが大切です。個人で使うために持ってきたものであること、意図的に隠したわけではないことを、はっきり伝えましょう。感情的に反論したり、その場で言い訳を重ねたりすると逆効果になります。
- 素直に認めて所有していた事実を説明する
- 放棄に同意しその場で処分してもらう
- 罰金の通知を受け取り内容を確認する
- 支払い方法と期限をその場で確認する
罰金の通知を受け取った場合は、期限内に支払いを済ませます。放置すると次回の入国時により厳しい扱いを受けることになります。高額な処分や刑事手続きに発展した場合は、現地の弁護士に相談する選択肢も検討しましょう。
係官は意地悪をしたいわけではなく、農業を守る仕事をしています。こちらが正直に話せば、対応もずっと穏やかになります!
出発前にできる最終チェック

ここまで読んでいただければ、何が持ち込めて何が持ち込めないのかは整理できたはずです。最後に必要なのは、その知識を荷造りの手順に落とし込むことです。空港で慌てないための準備は、家を出る前にほとんど終わらせられます。逆に言えば、出発当日に空港で悩んでいる時点ですでに手遅れということでもあります。原材料の確認、公式サイトでの裏取り、そして荷物の分け方という3つの作業を、出発前のチェックリストとして押さえておきましょう。
原材料表示の確認
荷造りの最中にやっておきたいのが、食品の原材料表示を1つずつ確認する作業です。肉のエキスは意外な商品に使われており、パッケージの表面だけでは判断できません。裏面の表示を見て、肉に由来する成分が入っていないかを確かめましょう。
- ビーフ・ポーク・チキンのエキスが入っていないか
- ゼラチンの由来が動物性かどうか
- 英語表記があるかどうか
- 未開封のまま持ち込める状態か
英語の表記がない商品は、係官に中身を説明できない点が不利に働きます。英語のパッケージがある商品を優先して選ぶだけでも、検査はスムーズになるでしょう。
公式サイトでの最終確認
規制の内容は毎年のように変わります。家畜の病気が発生すれば、それまで持ち込めた国の肉製品が急に禁止されることもあります。出発の直前に一次情報を確認しておくと、古い情報のまま荷造りする失敗を防げます。
| 確認したい内容 | 参照先 | 見どころ |
|---|---|---|
| 禁止品と申告のルール | CBP(税関・国境取締局) | Prohibited and Restricted Items |
| 食品と農産物の可否 | USDA APHIS | Traveling with Agricultural Products |
| 医薬品の持ち込み | FDA | 個人使用の輸入に関する方針 |
| 機内持ち込みの制限 | 利用する航空会社 | 液体物とバッテリーの規定 |
在日アメリカ大使館のサイトにも日本語の案内があります。最終的な判断はCBPが行うため、公式の一次情報を優先してください。
手荷物と預け荷物の分け方
持ち込むものが決まったら、最後に手荷物と預け荷物へ振り分けます。この分け方を間違えると、規制品ではないのに空港で処分されることになります。薬やバッテリーは手荷物、液体物は預け荷物という原則を覚えておきましょう。
- 薬と英文書類は手荷物に入れる
- モバイルバッテリーと電子タバコは手荷物のみ
- 醤油や味噌などの液体は預け荷物に入れる
- 申告する食品はまとめて取り出しやすい場所に置く
申告する食品を1か所にまとめておくと、検査の際にすぐ提示できます。荷物全体の準備については海外留学の入国時に必要な持ち物リストと荷造りで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
到着後の生活立ち上げについては留学前に知るべきアメリカ生活の全体像と文化・習慣も参考になります。
アメリカの持ち込み禁止のよくある質問

ここまでで規制の全体像はつかめたと思いますが、実際に荷造りを始めると細かい疑問が次々に出てきます。とくに多いのが、具体的な商品名を挙げての可否と、手続きにかかる手間についての質問です。迷ったものは申告するという原則さえ守れば、大きな失敗は起きません。とはいえ、事前に答えを知っていれば荷造りの段階で無駄な悩みを減らせます。ここでは食品・薬と申告・手続きの3つに分けて、読者の方から寄せられやすい疑問をまとめました。
食品に関する疑問
- Qカップ麺はアメリカに持ち込めますか
- A
肉のエキスや具材が入っていなければ持ち込めます。シーフード系や野菜系の商品は通りやすく、しょうゆ味やとんこつ味はポークエキスやチキンエキスを含むことが多いため避けたほうが無難です。購入前に必ず原材料の表示を確認してください。
- Qお土産のチョコレートやクッキーは大丈夫ですか
- A
工場で包装され密封されている菓子類は持ち込めます。個包装で原材料の表示があるものを選ぶと、検査の際にも説明しやすくなります。ただし個人使用の量を超えると商用とみなされる点には注意してください。
- Q機内で配られた果物を持って降りてもよいですか
- A
生の果物は持ち込めないため、機内で食べきるか客室乗務員に渡してください。うっかりバッグに残したまま入国し、申告せずに見つかると罰金の対象になります。降機の前にバッグの中身を確認する習慣をつけると安心です。
- Q日本のお米は持って行けますか
- A
もみ殻が付いていない精米は認められる場合がありますが、カプラ甲虫という害虫が発生している国からの米は非商業的な量でも禁止されています。判断は入国時のCBP職員が行うため、確実に手に入れたい場合は現地での購入をおすすめします。
薬と申告に関する疑問
- Q常備薬は何日分まで持ち込めますか
- A
処方薬は個人使用として通常90日分までです。それを超えると輸入とみなされ、別の手続きが必要になります。1年間の滞在であっても1年分をまとめて持ち込むことはできません。現地での受診方針を渡航前に主治医と相談しておきましょう。
- Q英文の処方箋がないとどうなりますか
- A
何の薬なのかを説明できず、没収される可能性があります。とくに向精神薬やADHD治療薬、コデインを含む咳止めは規制薬物にあたるため、英文の処方箋や医師のレターが欠かせません。薬は元の容器のまま、書類とともに手荷物に入れてください。
- Qサプリメントも申告が必要ですか
- A
サプリメントは食品として扱われるため、申告の対象になります。未承認の成分を含む製品は持ち込めない場合がありますので、成分表示のある市販品を選びましょう。申告して問題がなければ、そのまま持ち込めます。
手続きに関する疑問
- Q申告するとどれくらい時間がかかりますか
- A
申告した内容によりますが、食品を見せて説明するだけであれば数分から十数分程度で終わります。農業検査官のいる列に案内されることはありますが、罰則ではありません。時間に余裕を持って乗り継ぎを組んでおくと落ち着いて対応できます。
- Q禁止品を申告したら罰金を取られますか
- A
申告した品物は、たとえ禁止品であっても没収・廃棄されるだけで罰金は科されません。罰金の対象になるのは申告しなかった場合です。検査場の手前には放棄用のボックスも置かれていますので、不安なものはそこで処分してしまう方法もあります。
- Q家族の分をまとめて申告できますか
- A
同居する家族であれば、代表者が1枚の申告書にまとめて記入できます。ただし現金の1万ドルという基準は同行者の合計額で判断されますので、分けて持っていても合計が超えていれば申告が必要です。
まとめ:申告すれば罰金は防げる

アメリカへの持ち込み規制は品目が多く、一見すると覚えきれないように感じます。しかし判断の軸は3つだけです。肉が入っていないか、生ではないか、そして申告したかどうか。この3点を押さえておけば、空港で困る場面はほとんどなくなります。規制は農業と畜産業を守るために設けられたもので、旅行者を困らせることが目的ではありません。仕組みを知って備えておけば、入国審査は淡々と通過できる手続きに変わります。
- 肉と肉エキスを含む食品は加工品でも持ち込めない
- 生の果物・野菜・乳製品・卵も対象になる
- 加工され密封された菓子や調味料は持ち込める
- 処方薬は90日分までで元の容器と英文書類が必要
- 未申告で見つかると初回300ドルの民事制裁金
- 申告すれば禁止品でも没収だけで罰金はなし
もっとも避けたいのは、申告しなかったせいで罰金と入国記録の両方を負うことです。持ち込めるかどうか自信がないものは、迷わず申告してください。失うのはその品物だけで、次回以降の入国に影響は残りません。
荷造りの最後に原材料表示をひと通り見るだけで、空港でのリスクはほとんど消えます。ぜひ試してみてください!
渡航前の準備は持ち物だけではありません。ビザや保険、住まいや通信の手配まで含めて全体の段取りを組んでおくと、出発直前に慌てずに済みます。研究留学準備の最適プランニングと出発前にチェックすべきポイントでは、出発までにやるべきことを時系列で整理しています。
到着後に起こりやすいトラブルを先に知っておきたい方はアメリカ留学中に経験した生活トラブル9選もご覧ください。準備の精度がもう一段上がります。


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