研究留学実現のための最重要課題の1つは「資金の確保」です。ポスドクのポジションを確保できればそれに越したことはありませんが、少なくない数の研究者が奨学金の確保をして留学を実現させます。
奨学金の確保は家計の問題のみならず
- 留学が実現するか
- 希望の研究室に入れるか
- やりたい研究内容ができるか
に大きく関わってきます。
しかし奨学金の情報はWeb上にまとまったものがほとんど見当たりません。少し古いものはありますが、休止やリンク切れも目立ちます。書籍は情報が古い上に誌面の都合上載せられる情報には限りがあり、リンクから飛ぶこともできず使い勝手が悪いです。
この記事では給与待遇(150万円以上・33本)と少額給付(120万円以下・9本)あわせて42本の主要な海外留学助成金・奨学金を比較、紹介します。各奨学金の項目のリンクから公式ページに飛ぶこともできますので、各奨学金の参照用のポータルサイトとしてお使いいただければ幸いです。記事の下部には締め切りカレンダーも用意しています。今後も情報は随時追加・更新予定です。
必ず詳細・最新情報はリンク先の公式サイトでチェックしてください!
もう1つの最重要課題「留学先の研究室の探し方」についての記事はこちらから↓↓
また海外の奨学金や研究先への応募には英文のPersonal Statement(志望動機)やCV(履歴書)の提出がほぼ必須です。下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
- 奨学金・助成金応募に関する一般的な注意点
- 比較表:給与待遇の奨学金・留学助成金
- 比較表:少額給付の留学助成金
- 給与待遇・地域限定なし
- 1. JSPS 日本学術振興会海外特別研究員
- 2. JSPS 日本学術振興会海外特別研究員 Restart Research Abroad (RRA)
- 3. The Human Frontier Science Program Long-Term Fellowships
- 4. 第一三共生命科学研究振興財団 海外留学奨学研究助成
- 5. 上原記念生命科学財団 リサーチフェローシップ
- 6. 上原記念生命科学財団 ポストドクトラルフェローシップ
- 7. アステラス病態代謝研究会 海外留学補助金
- 8. 武田科学振興財団 海外研究留学助成
- 9. 日本生化学会 早石修記念海外留学助成
- 10. 内藤記念科学振興財団 海外研究留学助成金
- 11. 中外創薬科学財団 海外留学助成金
- 12. 東洋紡バイオテクノロジー 長期研究助成
- 13. 国際医学研究振興財団 海外留学助成
- 14. 中谷医工計測 技術交流助成 留学プログラム
- 15. 研究者育成支援研究奨励事業(創薬関連分野)
- 16. 三越海外留学渡航費助成
- 17. 安田記念医学財団 海外研究助成
- 18. 吉田育英会 日本人派遣留学プログラム奨学生
- 19. 公益財団法人鈴木万平糖尿病財団 海外留学助成
- 20. 公益財団法人小児医学研究振興財団 海外留学フェローシップ
- 21. 公益財団法人臨床薬理研究振興財団 海外留学助成金
- 22. 公益財団法人渡邉財団 渡邉利三国際奨学金
- 給与待遇・米国限定
- 23. Life Sciences Research Foundation Award
- 24. The Helen Hay Whitney Foundation Research Fellowship
- 25. Damon Runyon Cancer Research Foundation Fellowship Award
- 26. Jane Coffin Childs Memorial Fund for Medical Research Postdoctoral Fellowship
- 27. American Heart Association Postdoctoral Fellowship
- 28. Maryland Stem Cell Research Fund Post-Doctoral Fellowship Program
- 29. Beckman Institute Postdoctoral Fellowship
- 30. American Association of University Women International Fellowships
- 給与待遇・ヨーロッパ対象
- 少額給付
- 申請締め切りカレンダー(通例)
- まとめ:数を撃たなければ当たらない&神は細部に宿る
奨学金・助成金応募に関する一般的な注意点
留学助成金・奨学金の申請は自分が書類を準備するだけでも大変ですが「自分がとにかく頑張って用意すればいいもの」ではありません。
注意点1:学内選考の有無の確認が必須・締め切りに要注意!
奨学金・留学助成金の応募経由は大きく以下の2通りです。
まず大前提として留学の奨学金/助成金の応募には推薦者・推薦書が必要です。
特に日本の場合所属施設長の推薦が必要であることが多いです。そしてその場合場合推薦出来る人数が限られる(殆どの場合一名)のため、施設内の選考を通る必要が出てきます。つまり本締め切りの1~2ヶ月前に施設内提出の締め切りがあるということになります。
あらかじめ施設内選考を設定している施設・奨学金が多い一方で、設定されていない場合には施設内の担当窓口に相談して応募経路を相談する必要があります。いずれにしても早めに動き出す必要があります。
一方で教授や科長クラスの推薦のみで必要十分な場合もあります。医局や科のルールにのっとることにな流のでこの場合は施設内選考よりは競争率も締め切りも緩くなるはずです。
推薦書を2−3通用意する必要がある(特に海外の奨学金の場合)
日本の場合「推薦書」という形式があればOKのものも多いですが、海外の助成金・奨学金の場合には実際の推薦書(被推薦者との関係や推薦する理由)が必要な場合が大半です。…となるとそれを誰が用意するのか?という問題が日本では出てきます。
一般に欧米では推薦者が自己の責任のもとに推薦書を書きます(そのため関係が希薄であったり推薦に値すると考えてくれないと断られることもある)が、日本の場合にはそれが一般的ではありません。なので大体言われるのが「君の方でまず書いて、それを見せてOKを出すよ」です。つまり「自分で自分を褒めて、それを推薦者からの視点で書く」ことになります。これが激しく苦痛です(笑)。
こんなことは日本語でしか書けませんね…
海外で活躍されている方など、お願いする方によっては推薦書を自ら書いてくれる場合もありますし、自分で作成するにしても相手方にチェックしてもらう必要はありますからやはり前もって準備しておくほうが望ましいです。
ここから本題の奨学金の紹介になります。まずは比較表を提示しその後各奨学金を個別に紹介します。
比較表:給与待遇の奨学金・留学助成金
給与待遇(年間数百万円単位の支給)の奨学金が得られれば留学はほぼ実現したも同然です。もちろん金額は多ければ多いほどいいですが、大事なのは「採択されること」ですので、時間さえ許せば応募可能なものには手当たり次第応募してもいいくらいだと思います。
給与待遇が得られる奨学金をざっと比較した表を「応募条件」と「給付内容」に分けて示します。ここで大雑把に絞ると情報収集しやすいと思います。各助成金名はリンク形式になっておりクリックすると当記事の各奨学金詳細に飛びます。公式サイトのリンクも詳細に貼ってあります。
海外発の奨学金はここで紹介しているものはごく一部です。まだまだたくさんあります。
探す場合には当たり前ですが英語で検索しましょう。
比較表:少額給付の留学助成金
少額給付の留学助成金も散見されます。金額が少ない分取得のハードルは下がりますし、少額とはいえ数十万円単位なので家計にも大変助けになります。しかも1つの実績となり履歴書・CVにも書けますのでキャリアの強みになることも確実です。
ただし、あくまで補助は補助であり少額給付の獲得が留学の実現可能性を高めることは期待しないほうが良いでしょう。
少額給付の優先度は低いのでまずは給与待遇の奨学金に注力するのが正解です!
少額給付の奨学金について比較した表を示します。給与待遇の奨学金と同様に各助成金名をクリックするとそれぞれの詳細に飛びます。公式サイトのリンクは詳細に貼ってあります。
この他にも各学会で主催している少額の補助金は多数あります。
ぜひ所属学会のホームページもしくは学会誌で情報を探してみてください!
少額の給付金はあまり細かい制約がないことも多く、応募の敷居は低いです。全部応募しているとキリはないですが、留学の算段がついた後に時間の許す範囲で応募すると良いでしょう。
給与待遇・地域限定なし
ここからは各奨学金について詳細な情報を記載します。
まずはじめに地域限定のない奨学金です。
各助成金に公式サイトへのリンクが貼ってありますので是非お気軽にご利用ください。
※ 繰り返しになりますがこの記事の情報は個人で収集したものであり最新・正確な情報ではない可能性があります。必ず当該公式サイトで確認をお願いいたします。
1. JSPS 日本学術振興会海外特別研究員
いわゆる「学振」です。厳密に言えば奨学金ではありませんが、代表的な留学支援プログラムです。多くの人はここに一度は申請するのではないでしょうか。令和4年度の実績は申請564名、採用152名で採用率27.0%だったようです。例年は20%前後のようなのでやや高めの採用率でした。
補足
・派遣先が営利企業/日本の施設の海外拠点は不可
補足
・子ども手当なし
2. JSPS 日本学術振興会海外特別研究員 Restart Research Abroad (RRA)
こちらは家族の事情や出産育児などでキャリアの中断を余儀なくされた研究者向けの支援プログラムです。その分時間制限が緩くなっていたり、子ども手当が付いていたりします。採用枠や実績は公表されていませんが、5-8名程度が例年採用されています。
補足
・中断した理由の証明書が必要
補足
・航空券は子どもの分も含む
3. The Human Frontier Science Program Long-Term Fellowships
有名な支援プログラムです。手厚い支援が受けられますが、国際的なフェローシップなので難関であると聞いています。
応募要件の補足・説明
・応募前までの研究分野とは異なる分野であることが必要
支援内容の補足・説明
・期間中のトランスファー(留学先の変更)可能 ※条件あり
4. 第一三共生命科学研究振興財団 海外留学奨学研究助成
補足
・海外留学経験は語学・短期を除く
・※4年制大学卒35歳、6年制大学卒37歳
・※ポスドク最低額が支給される方は不可、最低額に届かず、差額を埋める応募は可
補足
贈呈式に参加が必要(交通費支給)
5. 上原記念生命科学財団 リサーチフェローシップ
有名な奨学金です。この記事でご紹介しているのは留学期間1年以上の枠ですが、留学期間が3ヶ月以上1年未満の枠もあります。
補足
・250万円以上の大型助成との重複支給は不可
・民間企業に所属する研究者不可
・4年制大学卒は1987年4月1日以降出生
補足
・単身赴任/家族同伴や助成前に渡航している場合はそれぞれ減額
・年収が450万円を超える場合は越えた金額が減額(外貨の場合は財団指定のレート換算)
6. 上原記念生命科学財団 ポストドクトラルフェローシップ
こちらも留学期間が3ヶ月以上1年未満の枠があります。
補足
・リサーチフェローシップより年齢制限が厳しい
・リサーチフェローシップと異なり博士号が必須
・民間企業所属不可
・250万円以上の大型助成との重複支給は不可
補足
・単身赴任/家族同伴や助成前に渡航している場合はそれぞれ減額
・リサーチフェローシップと異なり年収の規定がない
7. アステラス病態代謝研究会 海外留学補助金
収入の縛りがきつくないこと、推薦者が不要なこと、年齢制限がないこと、助成額が大きいなど非常に応募しやすい、しがいがある奨学金です。
補足
・留学後の収入の総額が1,000万円未満であること
・民間企業不可
・推薦者不要
補足
・枠は11件
8. 武田科学振興財団 海外研究留学助成
医師が研究留学するための助成です。これだけでだいぶ競争率は下がると思います。
応募要件の補足・説明
・年齢は産休等の事情の配慮あり
・博士は取得見込み可
補足
・枠は10件
・1年半後に延長の可否と期間を最審査
9. 日本生化学会 早石修記念海外留学助成
日本生化学会の会員になる必要がある助成金です。世界的なインフレが考慮され500→800万円/件に増額されました。
補足
・時間制限は出産/育児等のライフイベントや被災等の特殊事情を考慮
・他助成の支給は200万円まで可
・留学中に受ける給与は重複の対象に含まない
・ただし給与や他助成は選考過程で考慮される場合あり
補足
・枠は8件
・2024年度枠から800万円に増額
10. 内藤記念科学振興財団 海外研究留学助成金
助成年数は一年ですが助成金額は高めです。
補足
・国内外の給与は重複支給の対象外
補足
・枠は5件以上
11. 中外創薬科学財団 海外留学助成金
応募が1年で2回あるのがありがたいです。しかし件数は4件/年とやや少なめで年齢制限が厳しいです。
応募要件の補足・説明
・対象分野はがん/循環器疾患/老衰/呼吸器疾患/認知症など、または創薬基盤/応用研究
・年齢制限は出産・育児などのライフイベントを考慮
・営利企業所属不可
補足
・1年で4件程度
12. 東洋紡バイオテクノロジー 長期研究助成
あまり申請者は多くなさそうで、採択率も悪くない助成です。
推薦者の条件がちょっと特殊に見えます。
補足
・研究先からの支給は重複可
・推薦者は本財団理事・評議員に限定(大学院生は所属大学院の研究科長も可)
支援内容の補足・説明
・年間4-5名程度の採択、応募者は20数名(採択率20%程度)
13. 国際医学研究振興財団 海外留学助成
日本のものとしては助成額は大きく期間も長めです。年齢制限がやや男性差別になっていますが…他の助成のように「ライフイベントを考慮する」で良かったのではないでしょうか…。
応募要件の補足・説明
・博士号はなくても同等以上の研究業績があれば応募可
支援内容の補足・説明
・採択枠5名/年
・トランスファー不可
14. 中谷医工計測 技術交流助成 留学プログラム
1ヶ月(〜1年未満、短期留学)から3年(長期留学)まで対応可能な助成金です。「医工計測技術の発展に貢献」が目的ですが、2023年第二期より定義の拡大が図られ、応募領域が拡大された印象です(以下引用)。また世界的なインフレを受けて2023年度からは助成金額が大幅にUP(25→50万/月)されました。
補足
・対象分野の定義は以下(公式サイトから引用)
https://storage.nakatani-foundation.jp/main/p/uploads/grant_exchange_04_230816.pdf
- 医療や人々の健康に貢献しうる独創的でイノベーティブなアプローチをおこなう研究を対象とします。
- BMEを補足する言葉として、「生命科学と理工学の融合境界領域」と付記しました。
- 生物学、医学等を生命科学とし、物理学や化学等の応用を工学としたうえで数学やAIなど情報科学も含むことを明確にする意味で工に理を加えて理工学とし、それらが連携した研究領域が対象であることを示す融合境界領域という言葉で表現しました。
- 医療の発展や健康の増進を見据えた幅広い研究分野において、基礎から応用まで広く対象とします。
支援内容の補足・説明
・件数は定まっていない
15. 研究者育成支援研究奨励事業(創薬関連分野)
※公式サイトでは特別なアナウンスはありませんが、令和5年以降の募集が開始されていません。休止となった可能性が高いです。
AMEDの支援プログラムです。
金額も採択率も悪くないですし、応募予見の縛りもあまりきつくなさそうです。公的機関であることが影響しているのか申請の約半数は書類審査ではねられています。より丁寧に書式を遵守する意識を強く持って書類を作る必要がありそうです。
補足
・一般枠とエンカレッジ枠があり、エンカレッジ枠は縛りがある
補足
・研究費に流用不可
・枠は10/年未満
・2022年46件申請中10件採択(21.7%)
16. 三越海外留学渡航費助成
応募する人の所属施設が限定されている珍しい助成です。
その分必要要件は少なめです。額や枠も少なめですが…。
補足
施設の条件詳細(公式ページより抜粋)
1. 東京都並びに東京都近隣4県(千葉、埼玉、山梨、神奈川)に所在の大学医学部・薬学部、 医学研究施設(他県に本校のある東京都内所在の附属研究機関を含む) に所属する職員
2. 東京都内の病院に所属する職員
3. 東京都近隣4県(千葉、埼玉、山梨、神奈川)に所在する300床以上を有する病院等に所属する職員
補足
・毎年3人程度の採択枠
17. 安田記念医学財団 海外研究助成
金額が絶妙な金額で給与待遇と少額助成のどちらに入れるか迷いましたが、150万円以上の他助成は重複支給不可とのことで給与のつもりなのだろうと判断し給与待遇の項目に入れました。分野は癌に限定されます。応募条件はかなり緩めです。
18. 吉田育英会 日本人派遣留学プログラム奨学生
ジッパーの製造会社で世界的に有名なYKKの創業者が設立した財団です。研究留学だけでなく大学院やMPHなど幅広い分野と活動に助成してくれます。年齢制限がやや厳し目です。
補足
・研究留学の期間は「2年間が望ましい」となっており必須ではない
・留学先の大学から支給される奨学金やTA・RAなどの収入は重複支給可能
・英語試験の目安はTOEFLiBT 88・IELTS 6.5
補足
・毎年5人程度の採択枠
・研究費/授業費は実費支給
19. 公益財団法人鈴木万平糖尿病財団 海外留学助成
糖尿病に限定されますが、額も枠も大きいです。応募資格も緩めであり関連する方はお勧めできる印象です。
補足
・博士号は必須ではない
補足
・毎年5人程度の採択枠
20. 公益財団法人小児医学研究振興財団 海外留学フェローシップ
イーライ・リリー主催の財団です。分野は小児関連に限定されますが小児科である必要はないので幅広い分野で応募が可能であると考えられます。応募資格も緩めです。
補足
・特記なし
補足
・毎年1-2人程度の採択枠
21. 公益財団法人臨床薬理研究振興財団 海外留学助成金
薬理関連に限定はされますが、書き方次第で幅広い分野で応募可能と考えられます。日本の助成金にしては珍しく産休や育休を年齢制限の点で考慮してくれることが明言されています。額も多めです。
補足
・国内由来の助成金・奨学金との重複支給不可
補足
・毎年2人程度の採択枠
22. 公益財団法人渡邉財団 渡邉利三国際奨学金
給与待遇ではありますが額がかなり少なく、期間も6-10か月とかなり限定されています。その代わり枠は10件程度と多めに設定されています。
補足
・特記なし
補足
・毎年10人程度の採択枠
給与待遇・米国限定
次にアメリカの施設に限定される奨学金です。
23. Life Sciences Research Foundation Award
アメリカ限定の国際的な奨学金です。
支給額もかなり高いですが、研究費もいただけるのがポイント高いです。しかもそのうち4,000ドルを医療費などに充てることができるのでかなりのコストがこれで賄えます。
補足
・民間企業不可
・所属予定の研究施設が現在当助成を受けている場合不可
支援内容の補足
・当学会で毎年発表する
・研究費を年間4,000ドルまで医療・子どものケアに充てることが可能
24. The Helen Hay Whitney Foundation Research Fellowship
日本人が応募する場合アメリカへの研究留学に限定されます。
アメリカ人およびアメリカ人が海外で研究する場合にも使われるため、競争率は高そうです(採択率5%未満)。しかし給付額自体も高いですし、研究費と子供手当も充実しているので採択されればある程度の余裕ができそうです。
応募要件の補足・説明
・博士は取得2年未満、医師は取得3年未満
支援内容の補足・説明
・採択率は5%未満
25. Damon Runyon Cancer Research Foundation Fellowship Award
こちらもアメリカ限定の国際的な奨学金です。
金額も高いですし期間も長いのですが壁の高さを感じます。
補足
海凪の誤読でなければMD-PhDとして応募するにはアメリカの医師であることが必要ですが、PhDとして応募すればOKのはずです。とはいえアドバンテージがなくなるので正直不利な印象です。
補足
・1年目と3年目に説明を受ける
・所属先から給与を受ける場合はその分が減額される
26. Jane Coffin Childs Memorial Fund for Medical Research Postdoctoral Fellowship
こちらもアメリカの研究室が対象の国際的な奨学金です。時間の縛りは厳しいですが手厚い援助が受けられます。
補足
MD-PhDの規定が多く見られますが、12と違いMDの規定が不明です。
補足
・1回のみ引越し補助$500あり
・毎年当該学会に出席する必要があり参加費や旅費は全て支給
27. American Heart Association Postdoctoral Fellowship
有名なAHAの奨学金です。
応募要件の補足・説明
・支援開始時に博士号取得後研究経験が5年以下(臨床研修期間は除く)
・対象分野指定はないがAHAが主催であることを考えると…
補足
プロジェクト支援費は使用用途に縛りなし
28. Maryland Stem Cell Research Fund Post-Doctoral Fellowship Program
アメリカメリーランド州限定の奨学金です。こういった地域縛りのある奨学金は他にもあるのでしょうが、海凪は知りません。是非調べてみてください。
補足
・時間制限は育児や長期闘病期間等を考慮
・州内なら営利団体での研究も対象
・州外でも州内の施設でコラボレーションする場合受賞の可能性あり
補足
・助成期間はそれぞれの事情が考慮される
29. Beckman Institute Postdoctoral Fellowship
当該施設(University of Illinois URBANA-CHAMPAIGN)単独のフェローシップですが年間4-5人ほどの採択があり時間制限も緩いのでご紹介します。癌や脳のimagingやMolecular Scienceを手がけているようですが詳細は公式サイトをご確認ください。
補足
・応募前までの研究分野とは異なる分野であることが必要
補足
・例年4-5人程度の採択枠
・1年間に24日の休暇付与
30. American Association of University Women International Fellowships
女性限定の奨学金です。
そのためか助成額は若干低めに抑えられている印象です。
米国の奨学金ですが米国外の研究者が対象であり比較的競争率が低いと言えそうです。
応募要件の補足・説明
・米国籍でない、又は非移民ビザを持つ女性
・米国学士号と同等の学位(募集終了時までに取得)
・現課程/研究完了後に帰国の意図あり
・TOEFL-iBT 79点、IELTS 6.5点など一定の英語能力証明が必要
補足
$20,000 (修士/専門職学位課程) ; $25,000 (博士課程) ; $50,000 (博士研究員)
給与待遇・ヨーロッパ対象
ヨーロッパも限定の奨学金が多数あります。EUなど加盟組織に限定されたもの、日欧交流目的のもの、各国に限定されたものなど様々なバリエーションがあります。ここに紹介しているものはごく一部ですので、施設が決まっている方は国名限定のものを施設PIに教えてもらうなどすると良いでしょう。
31. Marie Skłodowska-Curie Actions Postdoctoral Fellowships
ヨーロッパ限定の奨学金です。応募要項が見にくいです。
補足
・GlobalとEuropean Postdoctoral Fellowshipsの二種類がありそれぞれ研究の国の縛りが異なる
・国はMember State (MS) 及び Horizon Europe Associate Country (AC)
・応募締切前3年間、受入機関国に12ヶ月以上滞在していないこと
・時間制限は出産、育児、闘病、その他の事情を考慮
補足
・生活費 € 5,080/月※国により補正 交通費 € 600/月 家族手当 € 660/月
・受入機関に対し研究費、管理・間接経費等合わせて€ 1,650/月
32. EMBO Long-Term Fellowship
EMBO加盟国(詳細は公式ページを確認してください)に留学する場合に応募可能な奨学金です。
国ごとに支給額が違うのですが、各国の物価の違いを端的に知ることができて面白いです。
応募要件の補足・説明
・クロアチアやチェコなどいくつかの国に対しては特別応募枠あり
補足
・EMBO加盟国間でのみトランスファー可
33. Canon Foundation in Europe – Research Fellowship
日本とヨーロッパの交換留学を目的とした奨学金です。
そのため16.に比べると全体的に敷居が低めで、採択率も10%程度あるようです。
その分金額は控えめですが…。
補足
・特記なし
補足
・採択率は10%前後(30年で162人の日本人が受給し渡航)
少額給付
この項目では少額給付の各助成金についてより詳細な情報を記載します。
各助成金に公式サイトへのリンクが貼ってありますので是非お気軽にご利用ください。
※ 繰り返しになりますがこの記事の情報は個人で収集したものであり最新・正確な情報ではない可能性があります。必ず当該公式サイトで確認をお願いいたします。
34. 細胞科学研究財団 育成助成
「細胞科学」の縛りはありますが給付額は120万円でご紹介している少額給付の中では最大です。
補足
・留学中申請可
・重複支給は同一研究において他機関から120万円以下の場合に限る
35. 神澤医学研究振興財団 海外留学助成金
キッセイ薬品工業株式会社及び社長の支援により設立した団体。
主に女性に関連した研究分野に対する補助です。
補足
・対象分野は以下の研究対象領域に属する基礎又は臨床研究
(1) リプロダクティヴ・エイジの女性に発現する各種疾患の成因、予防、診断、治療等に関する研究
(2) 加齢と共に女性に発現する各種疾患の成因、予防、診断、治療等に関する研究
・4件/年の採択
36. スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団奨学金
日本と北欧の交流を目的にした奨学金です。
公式サイトを見る限りではあまり細かい規定はなさそうです。
補足
・留学先国 デンマーク フィンランド アイスランド ノルウェー スウェーデン
・個人、団体を問わず毎年助成を実施
37. ケイロン・イニシアチブ Cheiron-GIFTS (研究者家族留学支援イニシアチブ)
その名の通り研究者の家族を支援する目的の助成金です。
研究者のパートナーが応募し、独自のテーマで活動をすることで助成金を得られます。
補足
・ 2022年度の支援テーマ(参考)
①「研究者の家族の海外でのキャリアパス問題」
②「研究者の留学先での多様な家族・パートナーの在り方」
③「研究者の家族・パートナーを取り巻く海外環境を発信する」
・研究者が学生として留学する場合も応募可能
38. British Council Japan Association BCJA奨学生
日英の交流目的の奨学金です。
申請のハードルは低そうです。
補足
・5件/年程度採択
・留学中申請可
39. 持田記念医学薬学振興財団 留学補助金
縛りは比較的緩く応募しやすい印象です。
補足
・20件/年と枠が多い
・民間企業不可
・対象分野の指定はあるがかなり幅広いのでほとんどの研究が当てはまると推測される
40. 中冨健康科学振興財団 留学助成金
健康の維持増進・運動の健康維持増進が指定分野です。1施設から複数応募が可能な点が魅力と言えそうです。
補足
・8件/年程度採択
・留学中申請不明
41. 公益財団法人内視鏡医学研究振興財団 海外短期留学助成
内視鏡関連ですが留学期間が非常に限定されています。臨床の勉強/研究がメインでしょうか?
補足
・採択件数が不明
・留学中申請不可
42. 公益財団法人てんかん治療研究振興財団 海外留学助成
てんかん分野限定の助成金です。額が少ないので付け足す感じになると思います。
補足
・2件/年程度採択
・留学中申請不明
申請締め切りカレンダー(通例)
申請書の準備には時間がかかりますので締め切りを把握することは非常に大事です。
一覧を見ていただくとわかる通り、5月と9月に集中しています。
ほとんどの奨学金は1年に1回きりの応募ですのでしっかり逃さず応募しましょう!
おまけ:アメリカの研究費・奨学金応募サイト
アメリカで留学している方は、以下のサイトが非常に役立ちます。Proposal Centralは多くの民間の奨学金が申請の窓口に設定しているサイトです。Grants.govは政府系(NIH)などのグラント申請に関するサイトです。
まとめ:数を撃たなければ当たらない&神は細部に宿る
奨学金を得られるかどうかは質も大事ですが量(応募数)も大事です。審査員の相性や競争率にも左右されるので、1つ2つ採択されなかったからといってめげてはいけません。施設内選考が必要なものも多く、締め切りはかぶることも多く、1つ応募するにも気力・体力を消耗しますがその経験値は無駄にはなりません。ブラッシュアップを続けつつ自分の条件に当てはまる奨学金には積極的に応募しましょう。
皆様の採択をお祈り申し上げます!
研究留学全体の流れはトップページの医学研究留学ロードマップをご覧ください。
コメント
ブログ読ませていただき参考にさせていただいてます。
ありがとうございます。
2023年のAMEDの創薬は募集がないと思います。自分も前探したんですが、見つけられなかったです。
あと、中谷医工は今年からグレードアップして募集領域も少し変わっていました。
最後に勝手ながら自分のnoteにリンクさせていただきましたが大丈夫でしょうか?
broady先生、コメント&ご指摘ありがとうございます!
どうしても一人&臨床に戻るとアップデートが難しく、このようにフィードバックをいただけると大変助かります。
早速記事に反映させたいと思いますm(__)m
noteからのリンクもご確認ありがとうございます。
とても嬉しいです!
ありがとうございます。
こちらこそお一人で有料級の情報をまとめていただき感謝しています。
これだけの量を載せるのは相当大変ですよね…
あと生化学会の早石記念も増額されていたと思います。
ありがとうございます!早石記念も更新いたしました。
最初は大変でしたね…。
更新ができなかったとしてもリンクだけでも助かると思い作成しました。
思ったよりたくさんの方にお読みいただけているようで嬉しいです。
大変参考にさせていただいております。
鈴木万平糖尿病財団の海外留学助成ですが、内容が異なるようですのでご確認お願いします。額は750万円の2年間です。
あおさん、ご指摘誠にありがとうございます!
更新が途中で止まっておりました。
早速訂正させていただきましたm(__)m