アメリカのラボ(=研究生活)で困ったこと5選

留学検討中の方へ

留学前、ある先生に言われたのは「アメリカだからと言って研究の本質が変わるわけではない」という言葉でした。「あまり気負わずに気楽にやりなさい」という意味だったのではないかと推測しますが、そうはいっても国も違えば言語も違い、施設も異なるので色々と違いや想定外のトラブルなど出るものだと思います。

海凪
海凪

海凪が所属していたラボで「これは困った」となった問題を困った順に紹介していきます!

1. 知識不足な専門分野を複数人でディスカッションする

英語での会話がただでさえついて行くのが精一杯という状況で、自分があまりよく知らない分野についてディスカッションされた時ほど辛いものは有りません(笑)

あまりに基礎的な質問をすると議論が止まってしまいますし、必要な議論ができません。自分に強く関係する事柄であればそうも言っていられないので会話を止めますが、すぐには関係ない、けど今後知っておいた方がいいこと、学んでおいた方がいいことなどの場合、どうしても躊躇してしまいます。そしてメモをしておくにも単語のスペルも曖昧だったりそもそも単語自体聞き馴染みがないのでわからなかったり…。

後でそのうちの1人に聞くという手段もありますが、何をどう聞くかもなかなか上記のレベルだと難しいです。あらかじめ議題がわかっていれば予習もできますが、そうでない場合が圧倒的に多くそう言った時はお手上げです^^;

2. 手続き関係が遅い

特に一番困ったのは最初施設のビル・研究室に自分のカードキーを登録してもらうのにほぼ1週間かかったことでした。そのためその1週間はいちいち電話したりテキストメッセージを送ったりして同僚に開けてもらうことに…。

頻繁に発生するのが施設にあるPCにソフトをインストール、もしくはメジャーアップデートする時です。どんなソフトウェアをインストール・アップデートするのにも毎回係の人に電話してその人にログインと操作をやってもらわなければなりません。もちろんセキュリティのためにしているのですが、かといってその人たちがそのソフトを入念にチェックしているかというと全くそんなそぶりはありません。

電話がつながるのにも十分単位でかかるので、お互いにめちゃくちゃ時間の浪費になっています。

この項に関しては正直「こういうものだ」と諦めるしかない話ですが。

海凪
海凪

結局は慣れと受容、ですね!

3. ネイティブ同士の雑談についていけない

これは実質的に研究に支障をきたしませんが、地味に精神的に応えます。

ネイティブ二人がなんだか仲良さげに何かを話しているのですが、距離もあるし声も大きくない(大きかったらそれはそれで迷惑ですが)上にめちゃくちゃ速くかつ断片的に話すので何を話しているかほぼわかりません。そこにアメリカの常識(例えばアメリカ有名人や今現在の文化・エンタメなど)を織り交ぜて会話されると入りどころもわからず、もしわかりやすい話題であっても入り時は一瞬。内容や話し方を考えているうちにあっという間に過ぎ去ってしまいます。

疎外感を感じるには十分ですが、多分そう感じてるとは思っていない雰囲気です。
もちろん向こうから話題を振ってくれることもあるのですが、大したことのない会話であればむしろ向こうが気を遣って小声で話したり、あえて話を振らなかったりしますので、なかなか難しいものです。

>> 留学前に知るべきアメリカ生活の全体像と文化・習慣

4.トラブルシューティングが人に頼り切りになってしまう

英語で細かいニュアンスを理解したり、言われたことを正確に記憶、伝達することにどうしても苦手意識がありますので、一人でトラブルの対処にあたることはかなり恐怖感があります。

そのためどうしてもトラブルシューティングが必要な時は複数人を巻き込んだり、頼ったりする必要があります。無理して一人で対処するのは不可能ではないかもしれませんがあまりにリスクが大きすぎます。例えば高価な機材を故障させてしまったりすれば大問題になるでしょう。

自分の場合、あるデータについての懸念について中々理解してもらえず、時間が経過した後に何とか対処してもらった、という事例がありました。最終的にはなんとかなりましたが、もしかするとそこまでのデータが使えなくなっていたかもしれません。本当に怖い出来事でした。

5. カンファで微妙なニュアンスを伝えられない

これも言ってしまえば英語で「言いたいことが言えない」というだけの話ですが。

大体のことは言葉とジェスチャー、時にプレゼン資料を使えば伝わるので大きな支障はありません。
ただやはり細かいニュアンス、微妙な意図、マイルドな表現などはなかなか難しく、もどかしさが常に残ります。「困った」というほどではないですが、気持ちがいいものではないですね。

抄読会の時などもちゃんと理解してもらえているのか(そして自分もちゃんと理解できているのか)は常に不安があります。

まとめ:トラブル回避・改善していくには勉強と実践しかない

海凪
海凪

結局のところ、問題解決の方法は2つです。

  1. 英語を勉強してトライ&エラーを積み重ねる
  2. 専門分野の知識と経験を積む

英語のリスニングとスピーキングのレベルが高ければ知識不足は補えます。
文脈から単語の意味を類推することも、疑問点を簡潔に尋ねることも容易になるでしょう。また英語の技術が上がれば誤解をすることもされることも少なくなり、手続きに時間がかかったり対応がチグハグだった時にも適切に主張し、改善を要求することもできます。

英語に関しては以下の記事で勉強方法や英語力の補い方について解説しています。

一方でもし当該分野の知識と経験がめちゃくちゃあったら…?
単語だけから文脈を類推することが容易になりますし、むしろ先方にアドバイスもできるでしょう。
伝えることやディスカッションポイントも明確に理解しやすくなりますので、多少の英語の不足は余裕で補えると思います。

研究に対する知識については以下の記事で書籍を紹介しています。

ということで、これから留学をされる方はトラブルを恐れたり個別の細かい対処を一つ一つ準備するよりも、自分自身の専門分野と英語の技術獲得と知識の習得を進めていくことが最大のトラブル対処法になると思います。

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