留学は人生の大きな一歩ですが、なにせお金がかかります。そのため留学前の金融資産の整理と留学中の金融資産の管理効率化は非常に重要です。
留学前に銀行口座やクレジットカードを整理しておくと留学中の心配を大幅に減らすだけでなく、効率的な資産運用や年会費・手数料の節約、管理のための時間の節約が可能になり、留学生活をより楽しく充実させることに役立ちます。
今回の記事では、アメリカに三年間研究留学して帰国した海凪が留学前の日本国内の銀行口座とクレジットカードの作成・整理と留学中の管理について詳しく解説します。
海凪は留学前の金融機関見直しは一切行わなかったので後悔してます…。
1. そもそもなぜ留学前の口座・クレジットカード整理が必要なのか?
なぜ留学前に口座とクレジットカードの整理が必要なのでしょうか?これには様々な理由があります。しかしその一つ一つのデメリットは意外と気づきにくく、後でじわじわと留学者を苦しめることになるのです。
まずは銀行口座・クレジットカードを整理するメリットを把握しましょう!
1-1. 日本の銀行口座を整理すべき4つの理由
国外に居住していると日本のサービスが利用しにくいことは容易に想像できると思いますが、整理すべき理由はそれだけではりません。
国内の銀行口座を整理すべき理由は以下の4つに分類できます。
A. オンラインでは対応できない手続きがある
一番イメージしやすいのはこれですね!
窓口対応が必要なサービスは当然利用できませんし、電話の手続きは時差を考慮する必要がある&国際電話になり高コストになるので簡単にはできません。
いわゆるメガバンク(誰もが名前を知る銀行)や地方銀行、信用金庫などはネットでの手続きが煩雑だったり余計な手数料がかかったりします。そしてそもそもネットでできる手続きの範囲が狭いです。
一方で一般店舗をほとんど持たないネット銀行はインターネット経由でほぼ全ての手続きが可能です。これを機に必要なネット銀行だけに集約することで留学中も留学後も家計管理や資産管理が容易になります。
B. 管理に時間/意識を取られる(管理コスト)
留学中はなるべく現地のことに集中したいですが、ただでさえ現地でも銀行口座を管理しなければならないのに国内の銀行口座が多いとそちらにも意識と時間を使わなければなりません。これを機に必要なネット銀行だけに集約することで留学中も留学後も家計管理や資産管理が容易になります。
2カ国の金融機関を同時に管理しなければならないので極力シンプルにすることが必要です!
C. 余計な手数料を節約できる
これは「手数料が安い銀行に取引を集約する」前提でのお話です。
メガバンク・地方銀行・信用金庫は手数料が高くなりがちです。これは実店舗がある仕組み上致し方のないところですが一方の実店舗を持たないネット銀行はそのメリットとして安い手数料を機能を損なわずに実現できます。
ネット銀行で月数回程度振り込み手数料が無料になります(回数はランクにより異なる)。取り扱いをネット銀行に集約することで留学中も留学後も手数料の大幅な削減が可能になります。
D. 確定申告の手間が増える(アメリカの場合:FBAR/Tax return)
この点が最も見逃されがち、かつ口座数を集約することの直接的な最大のメリットになります。
他の国はどの程度これが必要であるかは知りませんが、アメリカの場合FBARの申請とTax return申請の際に日本に銀行口座についても条件付き(一定以上の資産)ですが申告しなければなりません。
tax returnとFBARについては別記事でも解説しています。
一つ一つの銀行口座を申請することになるので口座が多いと非常に煩雑です…。
1-2. 日本のクレジットカードを整理すべき3つの理由
A. 管理に時間/意識を取られる(管理コスト)
基本的には銀行口座と同じ考え方です!
特に研究留学では現金が薄く(キャッシュフローが少なく)なりがちで、あまりたくさんのクレジットカードと引き落とし銀行口座を持っているとそれを管理するだけで頭と時間を使いますし、最悪支払いが滞って余計な金利を支払う羽目になってしまうかもしれません。
支払う機会や付帯サービスを使用する機会も激減しますのでこれを機に年会費が必要なものから優先して解約することをお勧めします。
B. オンラインでは対応できない手続きがある
物によりますが、場合によってはクレジットカードの解約も電話や郵送が必要になることがあります。海外渡航後にいざ手続きしようとしてもオンラインでできない手続きがあると海外滞在中は進めることができないということになってしまいます。
整理しないと不要な年会費や手数料を払い続けることになってしまうかも…
C. 使う機会(支払い・付帯サービス)が激減するので年会費がメリットに合わなくなる
有料のカードの場合の考え方です。日本のカードは当然日本で使用することが前提であり、年会費の一部は国内のサービスやポイントバックに使用されていることを考えると、使用機会が激減する海外渡航後は年会費有料のカードを保持するメリットはありません。
これを機に年会費有料のカードは解約もしくはグレードダウンすることは理にかなっています!
1-3. 海外送金を行うために新規口座の開設は必要か?
ここまでは「口座・カードを減らす」観点でのお話をしてきました。それでは「留学するから口座を作る」という見方はどうでしょうか?
今現在ある銀行口座では海外送金に手間や手数料がかかる場合、より簡単に・安く海外送金できる口座を持っておいた方が良いと感じるかもしれません。
原則不要!WISEがあります!
海凪の海外送金のおすすめ手段はWISEです!
しかし海外送金の手段はWISEがあります。これさえあれば海外送金のための新規の日本の銀行口座開設は不要です。WISEの登録方法や使用方法は以下の記事で詳しく紹介していますので参考にしていただければ幸いです。
保険として二つ目の手段を持っておいても良い
可能性はとても低いですが、WISEに何らかのトラブルがあり送金できなくなる可能性を考慮してもう一つの手段を持っておいても良いかもしれません。事前に申請や承認が必要ですので維持すると決めた口座が海外送金が可能であること、また可能であるだけでなく手数料がある程度抑えられるものを選定することが必要です。
次善の策としては海外で低い手数料で使用可能なデビットカードを所持するのも悪くない手段です。SMBC信託銀行プレスティアでは外貨口座の所持とデビットカードの作成が比較的簡単に可能です。
1-4. 銀行口座・クレジットカードを整理するデメリットはほとんどない
ここまで銀行口座やクレジットカードを整理すべき理由・メリットについて説明してきました。
では整理するデメリットはあるでしょうか?
「もう一度作成できないかもしれない」「再度作成する手間がかかる」をデメリットに挙げる方がいます。しかしそもそもそのカードは必要でしょうか?わずかなポイントのために何枚もカードを作っていないでしょうか?
チェックポイント
複数口座やカードを持つことは日本国内に住んでいてもメリットはとても小さく、デメリットは大きいです。
次に「整理そのものに手間がかかる」こともデメリットと考える方もいるでしょう。しかし口座・カードの整理をしておくと今後の人生で半永久的に時間と脳の管理コストを軽減できます。
突然の留学で本当に時間がない方は別ですが、そうでなければ平日1日何とか休みをとって(もちろんオンラインで解約できるものはオンラインで)、不必要なカード・口座を整理すべきです。
2. 留学前の銀行口座整理:何を残し、何を閉じるべき?
銀行口座は可能な限り最低限(理想は一つ)の口座以外全て解約して整理すべきですが、ただ数を減らせばよいというものではありません。留学中も、留学後も便利で使いやすい銀行口座を持っておくことが重要です。
2-1. 留学中も留学後も便利で安く利用できる銀行口座の選択
海外送金サービスやオンラインバンキングなど、留学中に便利なサービスを提供する銀行を選ぶことが重要です。
海凪的には以下の二択以外は選択肢に挙がりません!
これらの銀行口座は開設する時を除けばほぼ全てオンラインで手続きが完結するため手続きを非常に簡単・スムーズに行えます。さらに振り込み手数料も複数回無料なのでメガバンクや地方銀行・ゆうちょに比べてはるかにコストも時間も節約できます。
2-1. 必要最低限:どの口座を維持するか
留学中も利用する可能性がある口座を見極めます。基本的には日本の銀行口座は一つあれば事足ります。複数の口座引き落としがある場合は設定を変更してでも一つに集約すべきです。とはいえ各々の事情で引き落とし口座の変更が不可能な使わざるを得ない口座もあるでしょう。
上のような引き落としは口座の変更が難しい場合もあり確認が必要です!
2-2. 解約プロセスの手順と注意点
各銀行で共通して言えることは解約前に前もって口座内の資金を移動してゼロにしておくことと、必要書類を用意することが大切です。
銀行により窓口での手続きが必要、手続きの予約が必要、オンラインで解約が可能など様々です。
「○○銀行 解約」で検索すれば方法はすぐに見つかりますよ!
3. クレジットカードの見直し:海外での緊急使用も考慮して
クレジットカードも管理の手間、手数料の節約の観点から重要なものに絞って残すことが重要です。クレジットカードの方が制約が少ないですが、その分ポイントに踊らされやすく多くカードをお持ちの方も多いのではないのでしょうか。しかし管理の手間、ポイ活に要する時間や判断の消費と得られるポイントは全く見合っていません。この機会に不要なクレジットカードは解約してしまいましょう。
年会費・手数料を減らせれば節約にもなりますね!
3-1. 不要なカード・必要なカードを選定する
海外で広く受け入れられているブランドのカードを選びましょう。カードブランドはVISAもしくはMasterCardのほぼ2択です。
VISA・MasterCardがお勧めの理由
JCBは日本国内ではある程度広く使えますがそれでも若干上記2社に比べると使える範囲が狭いです。また海外ではJCBはほとんどと言っていいほど使用できません。American ExpressやDiners clubもJCBほどではないですがVISAやMasterCardには敵いません。一枚だけクレジットカードを持つ場合にはJCB・American Express・Dinersclubなどはやめておいた方が良いでしょう。
またどうせ使うならポイント還元が高いカードが望ましいですが、少し背伸びをしないと還元に必要な使用枠を満たせないようなカードはやめましょう。ポイントで得するよりむしろ余計な出費を増やして損をする確率が高くなります。
結論を言えば海外滞在中は日本のゴールド・プラチナカードは不要です!
3-2. 海外利用手数料をチェック
カードによって海外での利用手数料が異なります。低手数料または手数料無料のカードを選ぶことで、コストを抑えることができます。
ただしあくまで日本のカードを海外で使用するのは万が一の現地のカードが使用不可能となった時の緊急用です。現地のカードは手数料も為替スプレッドもありませんのでいくら手数料や為替レートが良い日本のカードでもゼロよりは高く、余計なコストを支払うことになります。
3-3. 年会費をチェック
年会費がかかる(可能性のある)カードは解約しましょう。一見無料に思えても1年に1回使用することが条件になっている場合もありますので注意が必要です。
楽天ノーマルカードや三井住友ノーマルカードNLなどが使い勝手も良く年会費無料でお勧めです。
3-4. 保険や緊急時サポートの有無とその重要性
カードが盗難に遭ったり、紛失したりした場合のサポート体制を確認しておくことは重要です。ただしある程度知名度のあるカードの場合その辺りはしっかりしています。あまり気にしなくても良いかもしれません。
4. この機会に自動家計簿サービスを利用しよう!
資産管理の強い見方がクラウド家計簿サービスです。
銀行口座やクレジットカードを整理するとそれだけでも格段に日本の資産管理が楽になりますが、収入や支出の管理を効率よく手間なく行うにはそれだけでは不十分です。
銀行口座やクレジットカードと連携できるタイプの家計簿アプリを使用すれば理想の家計管理にグッと近づきます。
海凪の一番のお勧めはマネーフォワード MEです!
マネーフォワード MEは10個までならクレジットカードと銀行口座だけでなく携帯電話料金や証券口座、電子マネーとも連携して安全で簡単に資産と家計の収支を把握できます。
その他にはZaimやMoney Treeがあり、これらも十分お勧めです。
まとめ:留学に行く前に持っていく荷物(資産)も整理しましょう!
留学前に忘れがちな、でもやっておくかどうかで大きな違いの出る見えない荷物(銀行口座・クレジットカード)の整理方法とそのメリットについてお伝えしました。
銀行口座とクレジットカードを必要最低限にして身も心も軽くすることで研究留学の成果を出しやすくするだけでなく、金銭的にもより負担感の少ない生活が遅れることは間違いありません。
不要な荷物を整理して身を軽くし、ぜひ研究留学という名の荒波を乗り越えてください!
海凪がやらずに後悔したこと、皆様にはぜひ実践していただきたいです…。
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