医学研究留学ロードマップ〜始めかた・過ごしかた・終わりかた〜

このページでは「医学研究留学をどうやって実現し、留学生活を充実させ、そして次の人生につなげて行くのか」を大まかに解説しています。

情報をピンポイントでお知りになりたい方はページトップの各カテゴリーや本ページの各所に配置したリンクからアクセスしてみてください!

さて、医学研究留学は情報格差と偏りが大きく掴みどころがありません。

インターネットの環境が整ってきた現代においてはネット回線を通じたビデオ通話で情報を得ることは以前より容易になりましたが、ツテがないと現役世代の体験談を聞くことは難しいはずです。
一方で大先輩の体験談は時代が違いすぎ、特にポストコロナにおいてはコロナ禍の時代に研究留学が激減したこともあり、生きた体験談を得ることはそう簡単なことではないでしょう。

書籍も複数出版されているものの、書籍の特性上情報の鮮度は古く、膨大すぎたり情報が少なすぎたりしてぴったりのものは見つかりません。海凪自身留学及びアメリカ生活に必要な情報は単独の情報源では明確に不十分でした。
なので複数書籍を購入し、インターネットを検索し、それらを繋ぎ合わせるしかありませんでした。

2022年においても研究留学全体を可視化したサイトはほとんど見当たりませんでしたので海凪が作成してみました。やはりひとくちに留学といっても情報量は多く、なかなかの長さになってしまいました。
目次からお目当の箇所をクリックしていただければ必要な情報はすぐに閲覧することができます。

しかしまだまだ不十分な箇所も多く、今後随時改訂予定です。
皆様の留学の実現および留学生活に少しでも役立てることができたら幸いです。

0. 研究留学を検討する

研究留学とその生活がどんなものかを知る

まずは研究留学および研究留学生活がどのようなものであるかをイメージできることは大切です。

降ってくる話でない限り研究留学の実現にはそれなりの時間と努力が必要です。
また降ってくる研究留学であっても自分の心や知識の準備ができていないとそのチャンス逃す可能性があります。

モチベーションを保つにもイメージと具体像は必要です。また研究留学が自身のキャリアや人生にどのような意味を持つのかがはっきりしないと行動にも移しにくいはずです。
まずは下記記事群から研究留学に触れてみるのはいかがでしょうか。

留学を実現する方法について知る

どうやって留学は叶うのか?を知らずに実現させることは不可能です。

知り合いの経験者に話を聞くのはとても大切です。
ですが一人の体験談はあくまで一人だけのもので、それが自分にぴったり当てはまる可能性はかなり低いです。

本ブログのみならず留学を扱ったたくさんの書籍、Webページがありますので参考にしてください。

留学はしたい、でも英語は好きじゃないしあまり勉強したくない…。
そんな方でも留学できる方法を模索してみました!
でもそんなに楽な方法はないんですよね…

現在の金銭状況と留学に伴う変化を知る

大抵の場合、留学はそのまま同じ職場でキャリアを継続することに比べて明確な金銭的ハンデを伴います。
海凪の留学初期のように、一人暮らし+田舎+ポスドク給与ありのようなレアケースを除いては貯金は増えないどころかむしろ大幅に減ることが濃厚です。

そのため、留学を検討される方はまずご自身およびご家庭にどの程度の金融資産があり、どの程度の収入と支出で家計が成り立っているのかを把握する必要があります。

留学が決まってからこの辺りのことをやろうとすると、せっかく難題である留学先が確保できたのに金銭的な問題で留学を中止・中断せざるを得なくなるかもしれません。それはあまりにもったいないことです。

以下の記事群から実際に留学したときの収支の一例がわかります↓

コストがかからない英語の勉強を始める

金銭の問題と同様(?)英語については常について回る問題ですし英語力があればあるほど様々なことに役立ちます。インターネットが発達した現代では、ノーコスト・時間の制約がないお手軽かつ継続しやすい勉強法がたくさんあります。

ぜひ早めに勉強を始めることをお勧めします。

下記記事に無料でできる英語学習法(というかプラットフォーム)をご紹介します。
海凪が実際にやってみて、無料にも関わらずかなり効果が高いと実感したものが揃っていますのでぜひご参照ください。

1. 研究留学の実現に向けて動き出す

金銭的な準備をする/資金を貯める

特に家族連れでの留学を目指す場合、いかなる資金源があろうともそれだけで生活することはあまり考えない方がいいです。つまりある程度の持ち出しが必要だということです。

どの程度かはケースバイケースなので一言では表せませんが、準備をしておくに越したことはありません。0.で把握した家計の状況をもとに、理想的には一番苦しい状況を想定して早めに貯金を確保しておくことをお勧めします。

また留学から帰国した後を見越してリスクの低い投資(積立NISAなど)も考慮すべきです。
くれぐれも短期売買やリスクの高いものには手を出さないようにしましょう。

留学に直接役立つ英語の勉強・英語資格の取得

留学に直接役立つ英語の勉強≒TOEFL-iBTです。

せっかく勉強するならスキルも身につきわかりやすく英語の実力も示すことができるTOEFL-iBT以外をあえて選ぶ必要はないように思います。
題材もアカデミック+大学生活に絞ってあり、インプットもアウトプットもまんべんなく学習できますので試験の点数を獲得することが実際の研究生活に直接役立ちます。

もちろんさらに絞って研究で使う英語だけを勉強するという手段もあります。
複数書籍は出版されているので不可能ではないです。
しかしその場合具対的な目標が立てづらくあまりお勧めできません。

次点としてはIELTSです。
特にイギリス・オーストラリアなどのイギリス系ではTOEFLより望ましいかもしれません。

海凪はTOEFL受験を選択し結果的に94点を取った後に留学が実現しました。

以下の記事で海凪が実際におこなったTOEFLの勉強法とテキストをご紹介しています。

2. 研究留学の資金確保(a)&研究留学先(研究室)の確保(b)

さて、ここが研究留学の最大かつ実質唯一の障壁です。

よく直面するのが「鶏が先か卵が先か」問題です。
奨学金や助成金を獲得するには多くの場合留学先が決まっている必要があります。
一方で研究室に留学の交渉する際には奨学金があった方が圧倒的に有利です。

こうなると袋小路に見えて「一体どうしたら?」となってしまいますが、
多くの場合は「留学先確保」→「資金源確保」の順番になります。

なぜなら留学先の確保には資金は必須ではありませんが、奨学金/留学助成金の申請に留学先の確保は「ほぼ必須」だからです。

例外は「大学医局からの指定・貯金での留学・その他(スカウト・公募)」ですね。
これらでは両者がほぼ同時、あるいは資金が先行するということになります。

2-a. 研究留学先を確保する

留学先を選ぶときの基本的注意事項

大事なことはとにかく「地雷を避ける」ことです。
致命的なことがなければあとは本人の頑張り・時の運・相性など様々な要因があり事前情報でベストの選択をすることは不可能と言っていいでしょう。

瑣末な欠点のために行かないのは勿体なさすぎます。

候補の研究留学先を選定する

コネを利用する

これが医師の研究留学では一番多いルートであると思います(個人的観測範囲)
その中でも多いのは代々同じ研究室へ同じ大学の医局から派遣して研究を継続しているタイプです。
もっとも留学が実現しやすく、かつ生活の立ち上げも研究への入りも前任の引き継ぎがあるのでもっとも「楽」「成果も予想しやすい」留学です。賃金も約束されていれば最高です。
そもそも留学実現や環境を整えるハードルとエネルギーは高いのでこの類の話があれば受けるべきであると思います。
ただ自由度は比較的低いでしょうから、確固たる別の目的がある人や自由に留学したい人は受け入れがたいかもしれません。

自身の希望する研究範囲に関連する研究室にとにかく売り込む

他の方の体験談を読む限りではこれも多そうです。
 気になる研究室に片っ端から手紙やメールを送ったり、学会で突撃して知り合いになり連絡を取ったり‥。大変は返事も来ないようですが「数撃てば当たる」のことわざ通りいくつかの研究室から返事がもらえ、実現に結びつくようです。
 その場合先方から給料を出してもらえる可能性はかなり限定的です。大部分の場合は奨学金を自分で獲得し、それとともに売り込むことになります。こうすると相手は給料を出す必要がなくなりかなり可能性が高くなります。もう1つは完全無給で挑む方法です。先方が受け入れてくれる可能性は奨学金がある場合に比べて若干低くなりますが、それでも一定程度可能性はあります。しかしビザ獲得には少しだけハードルが高くなるかもしれません。

 この場合リスクも労力も1.に比べてはるかに大きいですが、その分自分が選ぶ自由もあります。
一方で飛び込みは研究室の前情報が限られるのでとんでもないPI (principle investigator, 研究室の主催者)に当ってしまう可能性もあります。例えば研究者として有能であったとしても放って置かれるところもあれば、厳格に管理されて自由がないところもあり…。ただそれはやり方次第です。
その辺りは別記事「医師の研究留学に潜むリスク 〜体験談を交えて〜」を参照ください。

その他の手段

スカウトされる公募や賞に応募して勝ち取る、などでしょうか。
かなり特殊であるとは思いますが、たくさん論文を書く、たくさん国際学会発表するなどして実績のアピールができていると自分から探さなくても話がくるかもしれません。それも一つのコネクションではありますが、実績や研究実績に依存しますので1 のコネとは別に分類しました。

実は海凪はこのパターンでした。
海凪が留学に至った経緯については別記事「アメリカ研究留学に至った経緯」をご覧ください。

1. CVを用意する

英語の履歴書はいざ書くとなると意外としんどいです。
しかし一度作ってしまえば細かい修正とアップデートは楽ですので、時期を早めに作ることをお勧めします。人によっては履歴書を作ることで自分を客観的な的に見ることができ行くべき方向が見えてくるかもしれません。

下記記事でCV作成について解説しています。
Wordファイルもダウンロードできますので参考資料の一つにしていただければ幸いです。

2. Personal statement

いわゆる「志望動機」ですが、一定の書き方は存在します。
これも一度作ってしまえば提出先に合わせて取捨選択・修正することで楽に修正できますが、一方では事実を書けばよいCVと違って留学先への意欲を示すものなので提出先に合わせた修正は必須です。

そしてこれは一回は英文校正サービスを通しましょう。

コピペやどこに提出しても意味が通るようなぼんやりしたPersonal statmentではマイナスにしかなりません。“personal statement”で検索すると実例や書き方の解説はたくさんありますが、あまりに多すぎるのが厄介です。後日自分なりの解説記事が出したいと思っています。

2-b. 研究留学の資金源を獲得する

奨学金・海外留学助成金に応募する

まずは書籍・まとめサイトで把握するのが手っ取り早い

まずはどんな種類の奨学金・助成金が応募できるのかを把握することが先決です。
当たり前ですが知らずして応募はできませんからね。

海凪が留学前に把握していたおもな助成金を列挙しておきます。

  • ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム
  • 公益財団法人武田科学振興財団 海外研究留学助成
  • 日本学術振興会 海外特別研究員
  • 公益財団法人第一三共生命科学研究振興財団 海外留学奨学研究助成
  • 公益財団法人上原記念生命科学財団 海外留学助成金 リサーチフェローシップ
  • 内藤記念科学振興財団 海外研究留学助成金
  • アステラス病態代謝研究会 海外留学補助金
  • 持田記念医学薬学振興財団 留学補助金

最新情報を大元のウェブサイトでチェック

執筆から手元に届くまで時間のかかる書籍はもちろんのこと、まとめサイトも情報が更新されていないことがままあります。

特にコロナ禍で色々なものが変更されたり、まとめサイトの更新・書籍の出版が滞っている面もあり必ず最新情報を大元のウェブサイトでチェックする必要があります。

早めに応募条件の確認が必要

そもそも対象外になる奨学金も少なくありません。

年齢・職種・経験・資格・研究分野などはそれぞれ異なりますので必ず自分が当てはまるかを書類作成に取り掛かる前に必ず確認してください。

また多くの奨学金・留学助成金の募集は1年に1回です。実際にお金が出る時期と募集時期もかなり離れていることが多いので、いつ応募するか・いつ資金が出るかを必ず確認してください。

予め共通の履歴書を作成しておく

どのような募集も履歴書を必要としないものはありません。
作っておくと応募資格と自分のプロフィールとのの照会も楽になりますので、早めに用意しておく方が良いでしょう。日本の履歴書をきちんと作成しておくと、英語の履歴書作成の際にも大変役立ちます。

小さな助成金・奨学金も見逃さない

学会も少額の助成金を主催していることは多いです。

それ単体では生活にはとても足りませんが、渡航費として使えるだけでもだいぶ違います。
もちろん学会に所属していないと情報は入ってきませんし、研究課題が当該分野と重なっている必要がありますが、見逃すには勿体無いです。

大学(医局)に交渉する

よくあるパターン

一年は大学のポストを継続したまま交換留学(名前はわかりません)の形をとり、もう一年は自分でなんとかしてね(研究室と交渉する・奨学金を獲得するなど)というのがよく聴くパターンです。

このパターンは様々な利点があります。

  • 給与が一年保証されていることで留学先の研究室と交渉がしやすい
  • 一年間は日本国内の年金や健康保険など福利厚生を得られる
  • 国内より留学先でグラント・奨学金を作成する方がやりやすく採択されやすい(個人の印象と感想ですが)
  • 自分の実力や頑張りを見せることでポスドクのポジションを(飛び込みよりは)得やすい

大学との関係性やポストの状況、他の医局員の状況など様々な条件が揃う必要がありますが、上記のメリットを考えればトライする価値は十二分にあります。

ポスドクとしての職を得る=ポスドクとしての留学先を確保する

これができたらベスト!!
…なんですけどよっぽどのコネか実績がないとなかなか厳しいのが現実です。

ポストを得られた人は胸を張りましょう。

貯金でなんとかする

最終手段はこれです。

お金さえあればなんとかなります。
最近はそれでビザを取りにくくなった、なんて噂を聞きますが、実際には海凪の留学先にも自己資金だけで留学している人もいました。噂で諦めるのは勿体無いです。

とはいえ特に家族連れで留学を考えている場合には金策をいろいろ用意しておかないと比較的高給である医師とは言えどなかなか厳しいものがあります…。

「貯金がある」では通用しない場合の裏技

場合によっては「貯金ではダメ」という場合もあるかもしれません。

こんな裏技を使った人がいました(あくまで伝聞なので詳細はわかりません)。
医局に自分の貯金を預けて「基金」とし、そこから助成金として自らに定期的に払い出すことで「持続的な資金援助があります」と示したとのことです。

税金はどうしたんだろう??などいろいろ疑問がありますが、最後の手段として知っておいてもいいかもしれません(笑)

3. 研究留学が決まったら

留学先と留学時期が決まったらあとはあとは必要な手続きや準備をするだけです。

それまでに比べてここからは作業は多いです。
しかしやることは明確なことがほとんどなのでそれぞれ検索して公式のHPを参照し、わからないところは解説サイトを参照していけばほとんどの問題は解決します。

VISA (J-1 )の取得

この辺りのことはまずは米国大使館HPを調べましょう。

きちんと日本語で説明してくれていますし、YouTubeのビデオも用意してあります。

もちろんところどころわかりにくい部分はあるのでその都度ウェブで調べる必要はありますが、一つ一つ進めていけば決して難しくはありません。それでも難しい方は個人のブログで解説しているものもあり、実際に海凪も参考にしました。

もちろん大前提としてパスポートが必要なことは言うまでもありません。

日本で行える現地のための準備

現地で使える銀行口座の取得

別項で少し解説していますが、現地の銀行口座もあらかじめ日本で作成できます。

現地で作成する場合、ソーシャルセキュリティナンバーがない・住所がない・身分証明書がパスポート/VISAしかない、といった場合には口座の作成が困難です。

あらかじめ作成することで現金の送金も予めできますので生活の立ち上げも楽になります。

ただし日本で作成できる銀行口座は利率が低めなど条件がいいとは必ずしも言えないのでクレジットカードと同様しばらくしたら現地の条件の良いものを作成することをお勧めします。

現地で使えるクレジットカードの取得

もちろん日本のクレジットカードも使用できるものがほとんどですが、多くのクレジットカードは海外で使用すると手数料や為替スプレッドを取られることがほとんどですし、ポイントもアメリカのカードに比べて非常に少ないです。

国際運転免許証の取得

現地に来てすぐの場合は国際運転免許証で運転することになります。
ただし現地の車の必要度によってはここを省略して現地の運転免許取得でもいいかもしれません。

なお日本で運転免許をお持ちでない方はアメリカで運転免許を取得して日本で振り替える事によって日本で取得するより遥かに時間とお金をかけずに取得可能なようです。

住居の確保・ホテルの予約

海凪が過去に聞いた、読んだ体験談ではいずれも渡航直後はホテルに宿泊しその間に家を探していました。

通常外国人は信用がない(だけでなくソーシャルセキュリティナンバー、現地の銀行口座、現地のクレジットカードもないことが多い)ので、直接顔を見せて交渉するなり、銀行口座などの各種ステータスを増やす必要があるからです。

その場合は現地のホテルを予約サイト経由で予約しましょう。価格も大事ですが最初は車もありませんので研究先や自宅の候補地と近い、もしくは公共交通機関で行きやすい場所を選びましょう。家族連れの場合、この時期は一人で渡米した方がいいかもしれません。

しかし海凪の場合には幸い大学と提携したアパート群があり、大学との雇用が証明されれば渡米初日から入ることができました。

当てはまる方は多くはないかもしれませんが、事前に情報収集して直接入居できる手段を見つけられるとすごく楽になります。

短期海外旅行保険/留学生用海外医療保険の契約

これは研究室との給与契約の有無や地域などによって大きく異なりますが、何れにしても無保険の場合医療費が莫大になるアメリカにおいては出国前にこの部分をはっきりさせ動いておく必要があります。

ポスドクなど給与をもらう契約がある場合

この場合は雇用主との按分で保険料が支払われるので、契約が始まってからは心配する必要がありません。しかし渡米から健康保険が有効になるまでの間にタイムラグが生じる場合があります。
実際には契約期間内であれば遡って保険会社が払ってくれるはずですが、渡米直後に何かあった場合のために別の補填する保険があったほうが安心かもしれません。

奨学金・貯金などでの渡米(給与がない場合)

こちらの場合は自前で保険を賄う必要があります。
日本で入れる保険もあるかもしれませんが、研究先の大学やPIに相談すると便宜を図ってくれる場合もあります。例えば低所得者用のメディケア・メディケイドに加入する、研究室で保険料だけ補助するなど、色々な道はあるようです。

特に家族連れでの留学の場合保険料は月に10万円どころか20万円を超えることも珍しくありません。
必ず相談・交渉を粘り強くされることをお勧めします。

これらの場合もつなぎの保険はあったほうが良いでしょう。

4-a. 研究留学生活の立ち上げ(共通)

住居の確保

多くの方は現地に行って住居を探すことになるはずです。日本でも同じですが、家を借りるのは信用が大事です。銀行口座、クレジットカードは上記の様に日本にいる間に作ってしまいましょう。

家を借りるにあたっては以下のようにさまざまな観点があります。

  • 家賃
  • 治安
  • 場所の利便性
  • 設備の新しさ
  • 大家
  • 車の置き場所(屋根のあるなし)
  • ライフライン/インフラ

水道・電気・ガス・インターネット回線・テレビ

それぞれ契約と支払いがどうなっているか確認しましょう。

例えば海凪のアパートの場合水道は契約/手続き不要・家賃込み、電気・ガスは自分で契約して支払い、インターネット・ケーブルテレビは契約不要・登録必要・家賃込みという条件でした。

もちろん家賃込みの場合はその分家賃は嵩上げされていることになりますが、一方で何かトラブルが起きた時に管理人が業者との調整をしてくれることも多いので非常に楽でした。

携帯電話の契約

今や携帯電話は最重要のインフラであり、必須の固定費です。
下記のような選択肢がありますが、やや複雑なところもあり後日解説記事を出す予定です。

  • 日本で海外用携帯電話サービスを使用
  • 日本でSIMを購入し継続使用
  • 日本の携帯会社の海外通話機能やレンタルWi-Fiでつないで現地で直接契約

車の確保

ほとんどの都市で車は必要です。
通勤には必要なくても買い出しやレジャーではニューヨークのマンハッタンにでも住んでない限りは必要なはずです。
下記のように様々な取得方法がありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。

  • 中古販売業車から購入
  • 正規ディーラーから新車
  • 入れ替わりの日本人研究者などから個人間の譲渡

車の登記

各州のDOTに車の権利を登記する必要があります。

業者からの購入であれば代行してくれるところも多いですが、個人間のやり取りではどちらかが自前でやらなければいけません。費用も多少ですがかかります。
ここも少し複雑なので解説したいところです。

税金・維持費

アメリカの制度は車検はなく、純粋な意味での維持費用は1年間の税金$50程度です(州・車種による)
逆に言うと最低限のメンテナンスを自己判断で行う必要がありますが、日本車を選択することで故障のリストとメンテナンスのコストを抑えることができます。

またリセールバリューも日本車が有利です。

SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)の取得

現地での給与が得られる場合にはソーシャルセキュリティーナンバー(SSN:social security number)の取得が必須です(税金・銀行口座・クレジットカード・運転免許など多数の面で必要)。

作成に際して注意する点はいろいろですが、大事な点は「入国後2週間は申請をしない」です。
入国の情報が2週間程度共有されないためで、それより早く申請してしまうと「入国の記録がない」→「手続きができないから放置」→「2週間後に再チェックすることなくそのまま放置」となってしまった体験談が散見されるからです。

反対に現地での給与所得がない場合にはSSNは取得できず、その場合にはState IDを取っておくと身分証明書として使用できます。

コロナ禍の状況ではありますが手続きに関して自分が体験したことを以下の記事で解説しています。

家具・家電・生活用品の確保

ほとんどの人にとって研究留学は一時的なものです。
他にもコストがかかる以上なるべく生活用品に関しては節約しておきたいところですが、一方であまりにケチりすぎるとQOLも留学の満足度も研究の効率も落ちてしまいます。

入手手段はざっくり以下の方法があり、必要度やスピード、コストなどを考慮して使い分ける必要があります。

  • 日本からトランクで持ち込み
  • 日本から船便
  • 日本から航空便
  • 現地の正規ショップで購入
  • 現地の中古ショップで購入
  • 現地を去る日本人から購入
  • 現地のコミュニティ・ガレージセールから購入

現地で購入する場合、日本にはないメーカーのものも多く、共通のものがあったとしても値段が異なります。海凪が購入してよかったものを別記事でご紹介していますので参考にしていただければ幸いです。

4-b. 研究留学生活の立ち上げ(家族関連)

デイケア/プレスクール/学校の確保

アメリカの1年の始まりは8月末〜9月初めです。
その時期にたまたま当たらない限りは途中編入という形になります。

学校は区域で決まっていますし、入れないということもありませんので慌てる必要はありませんが、デイケア・プレスクールは順番を待つ必要があり、特に人気のところはWaiting listも長いです。

出来るだけ早めに選定し、早めに応募する必要があります。
ただ保育料は日本より割高ですので、お子様の年齢が小さければ必ずしも無理して預ける必要はないかもしれません。

デイケア・プレスクールについては海凪の実体験を元に解説していますので参考にしてください。

子育て用品の確保

日本ほどきめ細やかではない部分もありますが、先進国であれば子育て用品はそれなりに充実しています。中古のものもありますが、安全性の部分でどうしてもリスクを負ってしまいますので安全のための用品は新規品を購入することをお勧めします。
下記記事をご参照ください。

おもちゃ・絵本・エンタメの確保

一方でおもちゃ・絵本は積極的に中古ショップを利用するといいと思います。
何店舗か回れば非都市部に住む海凪でもかなり充実したラインナップを安価に揃えることができました。

動画は近年流行のサブスクリプションサービスもオススメです。
日本のものも継続して楽しむことができます。
下記記事を参考にしてください。

5. 研究留学生活

研究留学生活をスムーズにして可能な範囲で失敗を避ける

致命的な失敗でなければそれも研究留学生活の良いスパイス・経験・笑い話になりますが、かといって多すぎると研究にも支障が出ますし留学先との関係性も良好に保てないかもしれません。

先人の体験談を知って、回避可能な失敗は避けるようにしたほうが無難でしょう。
海凪の体験談でよければ笑ってそして二の舞にならないように注意していただければ幸いです。

研究留学生活のモチベーションを保つ

期間は人によりますが、長くなれば長くなるほど飽きたり、嫌気が差すのは人の常です。
しかしほとんどの人にとっては人生で一度しかないせっかくの研究留学生活です。
疲れたら休むことは前提として、下記記事で紹介するような書籍を読んでモチベーションを保つのは大事だと海凪は考えています。

エンタメの確保し心の平穏を保つ

折角の海外生活ですからエンタメも現地のものを楽しまないのは勿体無いです。
とはいえ我々は日本人ですから、日本のものも恋しくなると思います。
現代は大変便利なもので、ほとんどの二次元エンタメは海外でも楽しむことは可能です。是非下記を参照にして心の平穏を保ちましょう😅

現地の奨学金・研究費を確保する

チャンスは多くはないかもしれませんが、現地の代償様々あるグラント・フェローシップに応募するのは良い経験です。サイエンスライティングのいい練習になりますし、PIの指導が得られれば新たな視点を学べるでしょう。そして万が一獲得できれば貴重な資金源・実績になります。

探す方法は様々ありますがNIHの公式WebサイトやProposalCentralが簡単で効率がいいです。

研究留学中の金銭負担をなるべく少なくする

金銭的リスクを覚悟してきた、とはいっても抑えられるコストは抑えたいですよね?
後日こちらに金銭節約の方法についても解説したいと思います。

6. 研究留学生活を締める

ここは海凪はまだこれからですね。
実際に考えて行動する段階になったら一つずつ記事にしていけたらと思っています。

現地で使用していた物品の処分

期間は人それぞれ違いますが、少なくとも数ヶ月単位、長ければ数年生活することになるので日本からの持ち込みと現地で取得したものを合わせればかなりの量になり、それを基本的には全て処分することになります。

持ち帰り・郵送

小さいもの・貴重品はトランクに入れるなどして持ち帰りますが、入らないものに関しては日本から現地に引っ越した時ど同様に航空便・船便を選択して輸送することになります。

ロストや遅延のリスクも考慮に入れる必要があります。

寄付

慈善団体や中古ショップなど様々な寄付先があります。
寄付による税額控除を得ることもできるようです。

売却・譲渡

一番確実なのは地域の日本人コミュニティの中での売却・譲渡です。
他にもFacebookや地域のガレージセールなど、様々な売却手段があります。

廃棄

上記で処分できなければ最終的には廃棄するしかありません。
ゴミの収集は地域で大きく異なると思いますので現地の情報収集が必要です。

貯金・年金・投資の割り振りを決める

銀行口座

日本で作れる銀行口座は残せるものが多いはずです。
いざ解約・国内へ送金するときも日本語のサポートが受けられますし、事情をよくわかっていますので対応にある程度信頼ができます。

探せばそれ以外にも日本国内で維持できる銀行口座は見つかります。
利率はその方が一般的に高いですし条件を探せばより低い残高で口座を維持できる銀行が見つかる可能性はあります。しかし原則英語で全てやりとりしなければいけないのが玉に瑕です。

クレジットカード

ここに関してはリサーチ中です。

年金

現地で給与をもらっている場合、福利厚生の一環として年金を積み立てることになります。

日本でも年金の一部は投資資金として市場で運用されていますが、アメリカの年金(TIAA)は日本のIdeCoのように自分自身で運用商品を選び、運用の結果を享受します。
そして引き出す際には一定の条件がついており、年齢も重要なファクターになります。

証券口座

こちらも現在検討・リサーチ中です。
友人の情報によると帰国後も口座を維持できる証券会社が複数あるとのことです。

7. 留学後を仕事・生活に生かす

せっかく留学したからにはその後の生活に留学経験を活かしたいものです。

これから起きることなので想像や伝聞でしかありませんが、以下のようなものが考えられます。
さてさて海凪はどうなることでしょうか…?

現地で行っていた研究内容を引き継ぐ

これは限られた条件でのみ可能だと思います。
通常は実験系の知的所有権はPIおよび大学に属していますので、少なくとも無断でそのまま使用することはできません。PIは当然確立した実験系で次のプロジェクトを進めたいはずで、あくまでPIの善意で供与される場合に限ります。

その実験結果や研究内容に多大な貢献をしているとか、そもそも自身がほぼ単独で獲得した研究資金で行っていた、などの事情があれば可能かもしれません。

現地で行っていた研究技術を使用して新しい研究を立ち上げる

新しい研究内容であれば可能性は高くなります。

しかしこれもPIの考え方次第です。
PIを共著者に加えるなどで合意ができれば可能でしょう。

ただ現地の環境を国内でも構築する必要がありますので一筋縄では行かないでしょう。

現地で習得した言語・知識・周辺技術を役立てる

このレベルではれば許可も不要で十分実現可能です。
ほとんどのものは日本でも獲得可能なものばかりだとは思いますが、実際に使ったことがあるかどうかでは雲泥の違いが出てくるはずです。

留学先と提携した研究計画を立案する

これも現実的ですね。留学先とWIN-WINの関係になりますし。
ただし先方に貢献できる技術や実験系を持っている必要がありますが。

上記を利用・アピールして研究費を獲得する

これも十分可能です。というかこれをやらなければ留学したメリットの半分くらいは捨てることになりますね。

留学中に新しい就職先を見つけてそのまま医局をフェードアウトする

これも実例はたくさんあり十分現実的な選択肢でしょう。

留学から地続きの研究をしたいが所属元では困難な場合、留学中に考えが変わり違う道を模索したくなった、所属元に戻れなくなったなど個々の事情は様々です。
時間的・距離的猶予がありますのでこれを機会に進路変更する人は散見されます。

まとめ

予想以上に長くなってしまいましたが、留学の準備段階で全てを知っておく必要はありません。
冒頭でも述べましたが、あまりに膨大なため不十分な箇所が多く、今後随時更新し補足していきたいと思います。

留学のフェーズが進むごとに少しずつ情報収集・参考にしていただければ幸いです。

ぜひ留学生活を実現・エンジョイして今後の人生にプラスにしてください。
この部分までお読みいただき誠にありがとうございました!!!

スポンサーリンク
usa-rural-researchをフォローする
アメリカの田舎で医学研究留学生活 〜一人暮らしでも家族と同居でも〜
タイトルとURLをコピーしました