研究留学を興味があるけれど「英語が話せなくても大丈夫かな?」と不安を感じていませんか?研究留学に必要な英語力については、情報を仕入れてもイメージができないことは多いものです。
この記事では、研究留学を楽しむ・成功するための英語力の実際と対応について、アメリカに3年間研究留学した海凪がわかりやすく解説しています。英語が話せないと起こるデメリットや、留学前の英語力向上の方法まで詳しくご紹介しています。最後まで読めば、英語が苦手でも納得して研究留学に挑戦することが可能です。
前提として英語力があればあるほど良いのは間違いないですが…
【研究留学中の状況・場面別】必要な英語力
研究留学の成功には、ある程度の英語力が欠かせません。留学する目的や状況によって求められる英語のレベルは異なります。留学目的や期間、研究内容や周囲の環境(研究室や同じ施設/フロアに日本人がいるかなど)を考慮して、事前に必要な英語力を把握しましょう。
状況を把握した上で必要に応じた英語学習計画を立てることが重要です!
研究先を実現する時に必要な英語力
結論:あればあるほど有利です
…それでは元も子もないので以下の記事群をご紹介します。
英語ができる人も苦手な人も参考になるポイントがあるはずです!
極論をいえばコネクションと実績があれば研究留学の実現に英語力はあまり関係ありません。しかし留学後のことを考えればそれが英語を勉強しなくて良い理由にはならないことは認識しておいた方が良いでしょう。
研究を進める上で必要な英語力
研究を進める上で必要な英語力は実はさほどありません。自信がよく知っている、あるいはこれから深く勉強していく分野の英語に関しては文献を読んでいくうちにいやでも身につきますし、交わされる英語も目的や分野がはっきりしているので必要な語彙や文法が限られてきます。
しかも通常実際のものや画像を前にディスカッションすることになりますので最低限(中学生2年生レベル)程度の英語力があればあとは指差しやジェスチャー、実際の画像や文献を見せることで十分にコミュニケーションは成り立ちます。
後述するようにテキストベースでのコミュニケーションで補足することも可能なので正直にいうとこの点での英語力については(自身の研究の知識さえあれば)ほとんど意識する必要はありません。
研究を進める上で必要な具体的な英語スキルは、以下のとおりです。
- 最低限の会話が成り立つ単純な文法でのスピーキングとリスニング
- 文献を翻訳や要約ツールを使いながらでも読み進められる程度のリーディング力
- 翻訳ツールを使いながら英文作成できる程度のライティング力
TOEFL-iBTで言えば60点もあれば十分と言えます。
専門知識が豊富にあればTOEFL-iBT40点でも問題ないかもしれません…
研究周辺領域で必要な英語力
研究そのものは英語力をそこまで必要とはされませんが、実験だけが研究ではありません。
研究施設によってはオリエンテーションが行われたり、研究が許可されるために実習や講義、グループディスカッションが必要であったり、また研究成果が出始めた後には研究室内でプレゼンを求められることもあります。
学会発表も重要です。発表する人自身だけでなく研究室・PI・研究施設の評判を背負っていますのであまりにまずいプレゼンテーションをしてしまうと信頼が得られません。論文や研究申請書の作成も求められますが、見せるだけでため息をつかれるような英語力の低さでは徐々にいづらい立場に立たされてしまうかもしれません。
研究周辺領域で必要な具体的な英語スキルは以下のとおりです。
- プレゼンテーションで簡単な質疑応答が可能な程度のスピーキングとリスニング
- AIツールを使いながらも意味がしっかり通る論文や研究申請書を作成可能なライティング
- 簡単なセッティングであれば英語のディスカッションに口を挟める会話力
TOEFL-iBTで言えばできれば80点は欲しいところです。
成果が出れば些細なことですが、英語がpoorだとちょっと胡散臭く見られてしまうかも?
研究室内外の人間関係構築やレクリエーションに必要な英語力
ここは地域性や研究施設内外の人たちのそれぞれの性格や思考、言語(ネイティブ/第二言語/日本語)の構成や自分自身がどこまで求めるかなどによって大幅に変わりますので「必要な英語力」という点で論じるのは難しいです。
現地に住んで研究している人たちは大抵日本からの医師・研究者よりも流暢に英語を操ります。かなりフランクな英語を多量に素早く使いますのでより上手に馴染もうと思ったら英語力はいくらあっても足りません。
その一方で趣味があったりウマがあったり、お互いに助けを必要としている場合には英語力なんて関係なく良い関係を作れます。
ということでTOEFL-iBTで言えば100点あればそれに越したことありませんが、人間同士のことなので相性が合えばなんでもOKです笑
海凪レベル(TOEFL94)ではネイティブ同士の日常会話はマジでしんどかったです…。
>> TOEFL-iBTのスコアを50点台から94点まで2年かけて獲得した医師の独学勉強法
生活に必要な英語力
生活に必要な英語力は実はそれほど高くありません。
もちろん実践的な英語力があればより安全・安心に生活をすることができます。しかし常に英語力が必要かというとそうではありません。
大抵の国や地域はショッピングやサービスの機械化・自動化が進んでおり、通常の日常生活では簡単な挨拶やYes/Noの意思表示ができれば困ることがほとんどありません。
ただし生活で何かトラブルが起きた時はその難易度が激変します。とはいえ近くに英語の話せる日本人の友人・知り合いがいれば大抵のことはそこでなんとかなりますし、大きな病院では翻訳サービスも日本より気軽に利用できます。研究室の同僚やPIに助けを求めるのも良いかもしれません。
この項目については頭を使う必要はありません…
英語が話せない状態で留学するデメリット
英語が話せない状態での留学には、大きなデメリットが生じる場合があります。英語を話せないことが原因で、留学生活全体において苦労してしまうと、留学の満足度や学びが損なわれるリスクが高まります。
コミュニケーションがとれない
研究留学では、コミュニケーションの障壁が大きな問題を引き起こしかねません。コミュニケーションがうまく取れないと、以下のような問題に直面することがあります。
- 留学先での日常会話が困難になる
- 指示がうまく理解できず研究が進まなくなる
- 現地の友人との関係構築が難しい
- 得られる情報量が少なくなりお金や時間を無駄にする
緊急時の対応が難しくなったり、モチベーションの低下につながったりする場合もあります。留学の価値を最大限に引き出すためには、事前に最低限の英語力を身につけることは非常に重要です。
孤立を感じる
研究留学生活において孤立を感じることは深刻な問題です。新しい国で人間関係を構築することは簡単ではありません。思い通りに良好な関係が築けなかった場合は、孤独感や孤立感が増しストレスが高まってしまいます。
カンファレンスでの情報収集やディスカッションがうまくいかないと、問題解決のチャンスを逃しかねません。コミュニケーションが減ると重要な情報を逃すことも考えられます。
交流の機会が限られれば、研究留学中の研究施設内外のイベントやこども同士のアクティビティへの参加も難しくなるかもしれません。研究留学生活の全体の満足度が低下する恐れがあります。
>>「研究留学に対する10の不安」を解消する方法|不安・失敗のほとんどは成功の種
研究留学前に英語力をつける方法
研究留学を成功させるためには、事前の英語力向上が重要です。毎日の学習習慣を確立し、英語力を高めましょう。英語でコミュニケーションが取れる自信をつけることが、充実した留学生活を送るために必要です。
基礎的な英語力をマスターする
研究留学を成功させるためには、基礎的な英語力の習得が極めて重要です。以下の学習を行い、基礎的な英語力を効果的に向上させましょう。
- 英語の基本文法ルールを理解する学習
- 単語力(特に日常会話で使う一般的な単語)を強化する学習
- 簡単な文章や会話を読んで理解する学習
- リスニング力を向上させる学習
留学中は基本的な会話が頻繁に求められるため、英語での簡単な質問や回答をしっかりマスターしましょう。英会話クラスやオンライン学習ツールを利用すれば、常に英語に触れる環境を整えられます。
毎日の英語学習を習慣化する
英語学習を毎日の習慣にすることは、語学力向上にとても重要です。毎日学習することで、長期的に大きな進歩が期待できます。自分の日常生活に合わせてスケジュールを組み、英語に定期的に触れる習慣を作ることがポイントです。
朝食後にリスニング練習をしたり、通勤時に英語のポッドキャストを聞いたり、夜には英語の日記を書くなど、日々の活動に英語学習を取り入れましょう。学習した内容を実生活で積極的に使えば、英語が身につきやすくなります。
英語学習を楽しみながら続けるためには、自分に合った楽しい学習方法を見つけることが重要です。ゲームやアプリを利用したり、ソーシャルメディアで交流したりするなど、モチベーションを保つ方法を取り入れましょう。
常に目標を持ち、進捗を記録し、自己評価をすることも習慣化に役立ちます。「継続は力なり」の言葉が示すように、毎日コツコツと取り組むことが、英語学習においても非常に重要です。
以下の記事群で無料で続けやすく、確実に効果のある英語学習法を紹介しています!
英語学習アプリは習慣化の力強い味方
独自の学習プランや進捗の記録など、学習を促す工夫が施されているので独学が難しそうな方はアプリで学習を進めることは有効な手段になると思います。
多くのアプリは無料部分と有料部分に分かれているので気軽に挑戦できます!
基本的な英語のフレーズを覚える
留学では、基本的な英語のフレーズを覚えることが非常に役立ちます。以下のようなフレーズを身につければ、留学先でのコミュニケーションが格段にスムーズになります。
フレーズの種類 | 基本的なフレーズ例 |
挨拶 | What’s up? (どうしたの?) How’s it going? (調子はどう?)など |
食べ物や飲み物の注文方法 | May I order…? (…を注文してもいいですか?) Could you bring me…? (…を持ってきてもらえますか?)など |
方向や場所の尋ね方 | Excuse me, where is…? (すみません、…はどこですか?) Can you tell me how to get to…? (…へ行く方法を教えていただけますか?)など |
感謝や謝罪の表現 | I can’t thank you enough. (感謝しきれません。) I’ll make it up to you. (お詫びします。)など |
自己紹介や他人に質問する簡単なフレーズを事前に用意しておくと便利です。日付や時間、数字を使う会話も頻繁に必要となるため、事前の学習がおすすめです。
旅行や観光で使える英語フレーズや、意見を伝える際の交渉表現をマスターしておくと、留学生活がさらに充実します。状況に応じたフレーズや単語のリストを作成し、何度も練習しておきましょう。
より実用的な日常会話ではアメリカ英語とイギリス英語では大きく違うので可能なら意識しましょう!
TOEFLやIELTSを受験する
海凪としては上記を行いつつTOEFLやIELTSを受験する予定にしてそれに向かって勉強することをお勧めしています。アメリカ圏(アメリカ、カナダ、フィリピンなど)であればTOEFL-iBT、イギリス圏(イギリス、インド、オーストラリアなど)であればIELTSをお勧めします。それぞれアメリカ英語・イギリス英語が主体であるだけでなく、資格の認知度もそれぞれの言語圏で大きく異なりますので、あえて逆にするメリットは皆無です。
またどちらも日本人が不得意なスピーキングやリスニングをカバーしており、アカデミックな英語もカバーしています。TOEICや英検よりはるかに実践的な英語を学べますし、その点数がそのまま自己アピールにも使用できます。
おすすめのTOEFL勉強法やTOEFL学習用の書籍を下記リンクから飛べる記事で紹介しています!
» TOEFL-iBTのスコアを50点台から94点まで2年かけて獲得した医師の独学勉強法
» 研究留学実現のためのTOEFL-iBT独学用テキスト5選
留学中に英語が話せないときの対処法
留学中に英語が話せない状況に直面しても、ポジティブに取り組むことが大切です。留学中に英語が話せないときには、以下の対処法が有効です。
- ジェスチャーを使う
- 簡単なフレーズを使う
- 積極的に英語を使う
- 英語補助ツールを使う
ジェスチャーを使う
ジェスチャーは、言葉が通じない場合に有効なコミュニケーション手段です。身体を使って、言葉だけでは表現しきれない思いを相手に明確に伝えられます。
国際的にも理解されやすいジェスチャーには、頷く動作や首を横に振るサインがあり、賛成や反対を示すときに役立ちます。物の形や動作を手で表現する場合も効果的です。
ジェスチャーを使う際には、表情を豊かにすることも大切です。喜びや驚き、困惑などの感情は、表情を通して相手に伝わりやすくなります。文化や環境に合わせて適切なジェスチャーを選ぶことがポイントです。
簡単なフレーズを使う
留学中に英語が話せない状況でも心配する必要はありません。簡単なフレーズを覚えておけば、コミュニケーションがスムーズになります。
以下の簡単なフレーズを使えば、英語が話せない時でもコミュニケーションを取ることが可能です。
使用場面 | 使用場面 |
日常的な挨拶 | Hi there! (やあ!) How are you? (元気ですか?)など |
感謝の表現 | Thanks a lot. (どうもありがとう。) I really appreciate it. (本当に感謝しています。)など |
基本的な質問 | What do you do for a living? (お仕事は何をされていますか?) How was your day? (今日はどうでしたか?)など |
聞き返す | Could you say that again, please? (もう一度言っていただけますか?) I’m sorry, I didn’t catch that. (すみません、聞き取れませんでした。)など |
意見を述べる | In my opinion,…(私の意見では…) Personally, I think…(個人的には…と思います。)など |
積極的に英語を使う
留学中に英語力を伸ばすには、積極的に英語を使うことが重要です。英語を使う機会を増やすことで、会話スキルが自然に向上します。
英語を母国語とする友人を作れば、日常会話での英語使用が増え、リアルなコミュニケーションスキルが身につきます。課外活動やボランティアに参加することも、学校外で英語を使う良い機会です。
英語で日記を書いたり、英語のメディアを利用したりすることも効果的です。恥ずかしがらず、間違いを恐れずに積極的に英語を使うことが、留学の成果を左右するといえます。
英語補助ツールを使う
今は昔と違い文明の利器を使った英語を補助してくれる有能ツールが無料・有料問わずたくさん利用できます。どうしてものときは恥ずかしがらずに使えるものは全部使って乗り切るのが賢いやり方です。
記事「英語力を補う!研究留学のための英語補助ツール7選+α」で上記のような場合に使える英語補助ツールを紹介しています!
まとめ:使える手段は全部使って積極的に行動しましょう!
留学を成功させるためには、最低限の英語力が不可欠です。もちろん英語力が高ければ高いほど有利にはなりますが、準備期間も限られる研究留学においては的を絞った英語学習が望ましいです。
英語が話せない状態で留学すると、コミュニケーションの壁や孤独を感じることがあります。留学前には基本的な英語力を身につけましょう。
英語をうまく話せない、うまく伝わらない場合には、ジェスチャーや簡単なフレーズを使って積極的に英語を使うことや、恥ずかしくても英語補助ツールを利用してコミュニケーションの質向上を図ることが重要です。留学前に適切な対策を行い、留学生活をより充実させましょう。
準備期間がある方はTOEFL-iBTの受験をお勧めします!
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