研究留学成功のためには研究テーマや研究室を決定することが最も重要ですが、複数の選択肢がある場合で研究室・研究テーマでは甲乙つけがたい(羨ましい!)場合には留学先の国や都市の物価や治安も見逃せない要素です。
この記事ではアメリカに研究留学することのメリット・デメリットを解説し、次にアメリカの中でも留学に適した都市をご紹介します。記事を参考にして目的に応じた最適な都市を選べば、人生を豊かにする留学を経験できるでしょう。
アメリカの中部都市に3年間研究留学し各都市に滞在経験がある海凪が解説します!
アメリカに研究留学するメリット
アメリカ研究留学のメリットは以下のとおりです。
- 留学先の選択肢が多い
- 予算や研究設備に恵まれていることが多い
- アメリカ英語を学べる
- 馴染みのあるエンタメが豊富にある
留学をすると、得られるのは知識やスキルだけではありません。価値あるネットワーキングを築くチャンスに恵まれます。将来さまざまな分野で成功するための基礎を築くのに役立つでしょう。
留学先の選択肢が多い
近年は純粋な数では中国に抜かれましたが、アメリカは有数の研究者人口と予算をもつ研究大国です!
アメリカ留学の大きな魅力のひとつが、留学先である研究室の選択肢の豊富さです。世界有数の大学がいくつもありますし、民間の競争力も高いので民間会社の研究先も他国の追随を許しません。自分が深く学びたい研究分野に絞っても選択肢には困りません。
アメリカは主要なMedical School (MD, allopathic)だけで159あります。そして民間の研究所はもちろん、アメリカ国立衛生研究所(NIH: National institutes of Health)という合わせて27施設・6000人以上の研究者を抱える巨大な国立研究施設も存在し多くの日本人研究者が在籍しています。(出典: Wikipedia)
質の高い研究先があるのは大都市だけではありません。各州のメインの大学は十分な予算規模と設備を備えており住みたい場所や学びたい環境に合わせて場所が選ぶことができます。
選択肢の幅が広いため、自分の予算や学習目的に応じた教育機関を容易に見つけられるでしょう。
» 研究留学先を選ぶ時は何を重視すべきか?目的と価値観を炙り出す9つの質問
予算や研究設備に恵まれている(ことが多い)
研究開発費はまだまだアメリカがNo.1です!
上のグラフは全ての分野の研究開発費合計値ですので、医学分野の統計というわけではありませんし研究人口とは別の統計です。しかし単純計算すれば一人頭の研究予算は中国よりも上回っていることがわかります。
つまり研究施設に所属する人数が多い≒ポストを得られる機会も多い、研究の一人頭の予算額が多い≒研究費として使える額が多いという根拠の一つにはなると思います。
生きたアメリカ英語を学べる
アメリカ英語を学ぶと、グローバルなコミュニケーション能力を高められます。アメリカ英語は標準的な発音、語彙、文法を備えており、世界的に広く理解されているからです。将来的なキャリアや学術分野での発展に役立つでしょう。
日常会話は現地のアクセントやスラングを直接学ぶ絶好の機会です。実践的な会話練習が日常的に行える環境が整っているので、リアルなコミュニケーションスキルが身につけられます。
英語を学ぶ機会は日常会話だけではありません。ビジネス英語や学術英語など、特定の分野に特化した英語教育の受講も多くの大学で可能です。自分の目的に合ったスキルを伸ばせます。
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馴染みのあるエンタメや多様な文化体験の機会が多い
そもそもアメリカは世界的に影響力の強い国ですが、歴史的にもアメリカと日本は関係が深く、エンターテイメントの分野も例外ではありません。
ハリウッド映画や4大スポーツ、各都市の名所(自由の女神・ゴールデンゲートブリッジ・グランドキャニオン・ラスベガス)などは馴染みがある方が多いでしょう。
せっかく海外に住むわけですから、普段滅多にいけない観光地を回ったり、現地でしか味わえない体験をしたいという気持ちは大勢の方が共感できるのではないでしょうか。
またアメリカには世界中の人々が多く集まってきます。以下のような体験や学びがあるのもアメリカの大きなメリットです。
- 多民族が集まる環境で多様な文化交流ができる
- 異なる宗教や習慣を学ぶチャンスがある
- 国際的なイベントやフェスティバルが豊富である
- さまざまな国の料理を楽しめる
- 異文化に対する理解と寛容性が身につく
- グローバルな視点を養う機会が多い
- アート、音楽、ダンスなど文化的な活動に広く触れられる
アメリカ留学において有名な観光地やエンタメを体感できることは人生の大きなメリットです。
» 研究留学先を選ぶ時は何を重視すべきか?目的と価値観を炙り出す9つの質問
» 留学前に知るべきアメリカ生活の全体像と文化・習慣
アメリカに研究留学するデメリット
アメリカ留学のデメリットは以下のとおりです。
- 費用が高い
- 銃社会である
- 都市間の距離があり移動が不便
アメリカでの研究留学生活を考慮するときはデメリットも重要です。デメリットを考慮した上で留学国を選択すると後悔が少ないです。
生活費用が高い(都市部)
アメリカ留学のデメリットとして、生活費用が高いことが挙げられます。特にニューヨーク・ボストン・ロサンゼルスなどの人気がある都市の生活費用は日本やアメリカの田舎と比較して2-3倍になることも珍しくありません。
生活費用が高くなる理由は以下のとおりです。
- 都市部での生活費が高く、家賃や日用品がコストを押し上げる
- 健康保険や医療費が高く、必須の保険加入にも費用がかかる
- 現地での交通費やレクリエーション活動にも費用が必要になる
- 為替レートの変動が学費や生活費の実質的なコストに影響を与える可能性がある
一部の奨学金や研究室では生活費用を国や地域で調節してくれるところもありますが、多くの研究留学の場合収入はそれほど変わりません。
アメリカでの留学生活は費用がかさむことを念頭に置き、資金計画を慎重に立てることが大切です。
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銃社会である(治安に注意が必要)
アメリカは銃社会です。誰もが銃を持っている可能性があり、防ぎようのない銃乱射事件が都会・田舎を問わずしばしば発生しています。アメリカは人口も多く面積も広大なので実際に乱射事件に遭遇する可能性は低いですが、とはいえ一定の緊張を強いられる社会であることは間違いありません。
海凪としては確率を考えたときに銃社会であることがアメリカ留学をしない理由にはならないと考えていますし、滞在が長くなると不安感は消えていきます。ただ、一定期間は常にストレスになっていたこともまた事実です。
銃社会というだけでなく、アメリカではどんな田舎の都市でも犯罪率が高い地域が混在しています。安全な留学生活を送るために、治安情報に精通しましょう。
具体的な対策は以下のとおりです。
- 警察が公開している統計データや犯罪地図を確認し、危険エリアを把握する
- 夜間の一人歩きや人気のない場所への訪問を避ける
多くの学校では、留学生向けに安全対策セミナーやガイドラインを提供しており、情報を積極的に活用することも重要です。
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都市間に距離があり移動が不便
アメリカ留学を楽しむことにおいて、移動の距離の長さと不便さは小さくないデメリットです。生活にはニューヨークやロサンゼルスの中心部など一部の都市圏を除けば車はほぼ必須になりますし、都市間・州間の移動手段も車での長距離運転もしくは航空機の使用に限られてしまいます。
留学の楽しみの一つは現地の観光やエンタメを楽しむことですが、居住地以外の都市の観光をする場合アメリカでは数日~一週間の日程が必要になることが多いです。日帰りや週末だけでは行ける場所に限りが出てきますし一回当たりのコストもかさんでしまいます。
それと対比的なのがEU加盟国の留学です。EU圏内の国は面積もアメリカに比べて狭く、観光資源はむしろ豊富にあるため一国内でも近い距離でたくさんの観光をすることができます。さらに国外でもEU圏内であれば移動の自由があり、飛行機はもちろんのこと鉄道でも移動が容易なのでかなり短時間で各国の観光をすることができます。
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アメリカ留学におすすめの都市
アメリカには多様な文化があり、それぞれの都市には独自の特色と魅力があります。アメリカ研究留学を考えている方にとって、都市選びは非常に重要です。
アメリカ留学におすすめの都市は以下のとおりです。
- ニューヨーク
- ロサンゼルス
- サンフランシスコ
- ボストン
- シカゴ
おすすめしている都市は、人口規模の大きさ、日本人の多さ、交通の便の良さ、エンタメの多さなどが共通した特徴です。さまざまな人々との交流が可能であり、充実した学生生活を送れます。もちろんそれぞれの都市の特徴がありますので目的や興味に合わせて都市を選ぶことが重要です。
田舎には田舎の良さがある
本記事でお勧めしている都市は大都市、つまり都会です。一方でアメリカは広大な面積があり、むしろ「田舎」と呼ばれる州や中核都市の方がアメリカの大部分を占めます。
田舎には田舎のメリットがあり、本記事で勧めた5大都市以外でもアメリカの良さは十分に享受することができます。
参考記事
» 都市部との比較で実感したアメリカの田舎に研究留学するメリット5選
» 就学前の子育て中医師に非都市部(田舎)の研究留学をオススメする理由5選
ニューヨーク
ニューヨークは世界の金融や文化の中心地として知られています。コロンビア大学やニューヨーク大学など多くの名門大学が存在しており、まさに世界の中心と言える魅力的な環境です。
ニューヨークの特徴は以下のとおりです。
- 世界的に有名な美術館・博物館(メトロポリタン美術館、自然史博物館など)が集まる
- ブロードウェイで一流の舞台芸術が観られる
- 図書館や研究施設が充実しており、学術リソースが豊富である
- インターンシップやネットワーキングの機会が豊富で、キャリア形成に有利である
ニューヨークでの生活費は高く、特に住宅費が高額な点には注意が必要です。
ロサンゼルス
ロサンゼルスには映画業界の中心、ハリウッドがあります。エンターテイメントに興味がある方々にとっては夢の都市でしょう。
UCLAやUSCといった世界的にも認められた高等教育機関があるため、研究者に魅力的な環境が整っています。
ロサンゼルスの特徴は以下のとおりです。
- シリコンビーチでテクノロジー産業と関わる機会を持ちやすい
- 天気が良く居住環境が快適である
- ビーチや山、砂漠へのアクセスが良好である
ロサンゼルスでは交通渋滞が起こりやすいため、移動に時間がかかることに注意が必要です。
サンフランシスコ
サンフランシスコはカリフォルニア州に位置する、世界的に有名な技術革新の中心地です。シリコンバレーに近く、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などの優れた教育機関に囲まれています。
芸術、音楽、美食といった多彩な文化体験が可能です。幅広い知識や経験を積むのに理想的な場所であり、英語学習だけに留まりません。
年中快適な温暖な気候も魅力のひとつで、ゴールデンゲートブリッジやアルカトラズ島などの観光名所が豊富にあります。生活コストはアメリカでも高い部類に入るため、留学を計画する際には考慮しましょう。
ボストン
ボストンは、知的な街として世界的に知られています。ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)といった有名大学が点在し、学びの場として理想的な環境が整っています。
ボストンの特徴は以下のとおりです。
- コンパクトな都市構造で、学生にとって住みやすい
- 四季がはっきりしており、特に秋の紅葉が美しい
- 美術館や博物館が豊富でカルチャーとアートが栄えている
- ヨーロッパ風の建築が多く、古き良きアメリカを体感できる
- ボストンマラソンなどの伝統的なイベントが盛んである
- ニューイングランド地方の料理が楽しめ、シーフードが特に有名である
- スポーツ都市としても知られており、レッドソックスなどの人気チームがある
アメリカ独立の歴史を肌で感じられる歴史的な場所が多くあります。学問に留まらず、文化的な洞察も深められるでしょう。
シカゴ
シカゴはイリノイ州のミシガン湖畔あり、自然豊かな都市生活が楽しめます。世界有数の大学であるシカゴ大学をはじめ多くの教育機関があり、学問の追求に最適な環境が整っています。
シカゴの特徴は以下のとおりです。
- 豊かな歴史的建造物と現代的な建築が混在する都市である
- 音楽、特にジャズやブルースの文化が根強い
- アート・インスティテュート・オブ・シカゴなどの著名な美術館がある
- グルメ都市としても知られ、ディープディッシュピザやホットドッグが有名である
- ハブ空港であるシカゴ・オヘア国際空港があり、交通の便が良い
冬のシカゴは非常に寒く、強い風が吹くことでも有名です。寒さへの対策は必須になります。
まとめ
アメリカ留学のメリットには、多彩な研究室の選択肢や豊富な研究費や研究設備、アメリカ英語の習得、馴染みのあるエンタメの体験が挙げられます。デメリットは高額な費用や一部地域の銃社会と治安の悪さ、移動の困難さが挙げられます。自身の価値観と照らし合わせてしっかりと計画を立てることが大切です。
必ずしも研究留学先を都市で選べるわけではありませんが、もし複数の選択肢があるなら以下の都市がおすすめです。
- ニューヨーク
- ロサンゼルス
- サンフランシスコ
- ボストン
- シカゴ
ただし、いずれの年も郊外に住むと住居費は安くなりますが渋滞に苦しめられます。一方で都市部のダウンタウンに住むと治安が心配になります。
住む場所を決めるには予算とバランス感覚が求められますね…。
アメリカ留学では高品質な教育が受けられるため、将来さまざまな分野で活躍できるチャンスにつながります。多様な文化や価値観に触れ合うことは、留学でしか得られない貴重な経験です。目的に応じた最適な都市とプログラムを選択し、人生を豊かにする経験をしましょう。
もちろん他の都市でも研究留学はとても有意義でその価値は不変です!
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